こんにちは、20年以上スノーボードやっている元インストラクターの、らくスノです。
- スノーボードの板ってどんな形状があるの?
- ツインとディレクショナルの違いが分かりません…
- キャンバーとかダブルキャンバーってなんのことですか?
いざボードを買おうと思って楽天・アマゾンの販売サイトを見ても、専門用語ばかりでよく意味がわかりませんよね。
種類や形状をよく理解しないまま購入してしまうと、上手く乗れなかったり、上達の妨げになることも…
今回はスノーボード板の種類・形状の違いを、初心者の方にも分かるように専門用語抜きで解説したいと思います。
この記事を最後まで読めば、プロ並みの目利きになることができますよ!
目次
スノーボード板は滑走スタイル別に6種類ある
ターン | トリック | 安定感 | 操作 | |
---|---|---|---|---|
オールラウンド | ○ | ○ | ○ | 普通 |
グラトリ・ジブ | △ | ◎ | △ | 簡単 |
カービング | ◎ | △ | ◎ | 難しい |
パーク(パイプ・キッカー) | △ | ◎ | ○ | 普通 |
パウダーラン | ○ | △ | ◎ | 普通 |
オールマウンテン | ○ | △ | ◎ | 難しい |
スノーボードの板は、大きく分けて6種類あります。
厳密にいえばアルペンボードやラントリボードなんてのもありますが、挙げ出すときりがないので(笑)とりあえず上記の6種さえ知っておけば大丈夫です。
販売サイトやボードカタログには「オールラウンド」「グラトリ向き」などの記載があります。
ある程度滑れるようになったら、今度はご自身の滑走スタイルに合わせたボードを選ぶとさらにスノボが楽しくなりますよ。
「そもそもスノボの滑り方の種類が分からない…」という方は、以下の記事も参照ください。
あらゆるスタイルをバランスよく楽しめる!オールラウンドボード

パーク、グラトリ、ラントリ…何かに特化しているわけではないですが、あらゆるスタイルをバランスよく楽しめるのがオールラウンドボードの特徴です。
特に決まったスタイルがなければ、オールラウンドボードを選びましょう。どんな場面でも万能に遊べますよ。
ただしオールラウンドとはいえ、ややトリック寄りの形状になります。フリーライドメインの方は、このあと紹介するオールマウンテンボードがおすすめです。
中低速域での操作性が抜群!グラトリ・ジブボード

軽量で中低速での操作性が抜群なのが、グラトリ・ジブボードの特徴です。
センターが柔らかいので、オーリーで板を弾きやすい。スノボ初心者の方がはじめて購入する板としてもおすすめですね。
ただし、高速時はバタついてしまうので、カービングやラントリは苦手です。
グラトリ板の選び方やおすすめモデルに関しては、以下の記事でさらに詳しく解説してます。
高速域でも安定感抜群でキレのあるターンができる!カービングボード

カービングボードは有効エッジが長いので、キレのあるターンが可能です。また全体的に板が硬いので、高速時や荒れたバーンでも安定して滑ることができます。
ただし、初心者の方には扱いづらく、降雪に弱いなどのデメリットも…どちらかといえば、中上級者向きの板と言えるでしょう。
モデルによってはハンマーヘッドと呼ばれる、先端が潰れたような形状をしています。ハンマーヘッドの特徴やデメリットについては、以下の記事も参照ください。
スイングウエイトが軽いので回しやすい!パークボード

パークボードは左右が同じ長さの形状(ツインボード)で、レギュラー(左足前)でもフェイキー(右足前)でも同じ乗り心地で滑ることができます。
同じトリックボードであるグラトリボードよりも張りがあるので、ハーフパイプやキッカー(ジャンプ台)のリップ抜けや着地でも安定します。
ただし、トリックに特化したボードなので、カービングやパウダーは苦手です。
パウダーでの浮遊感が気持ちいい!パウダーボード

パウダーゾーンでの浮力を得るため、全体的に太い形状をしています。深雪の上では抜群の浮遊感を得ることができますよ。
ただし、太いボードは重く扱いにくいため、圧雪でのコントロール性能は劣ります。
圧雪、未圧雪問わずバランスよく遊びたい方は、次項で紹介するオールマウンテンボードがおすすめです。
オールマウンテンボード

オールマウンテンボードは沢地形やバンクドスラロームなど、地形遊びに特化した板です。
メーカーによってはフリーライドと呼ばれる場合もありますが、ほぼ同じコンセプトと考えていいでしょう。
フレックス(ボードの硬軟)が硬めに設定されていることが多いので、パウダーやカービングでも高い性能を発揮します。
元イントラが厳選!スタイル別おすすめの板92選

以下の記事では筆者の友人であるスノボショップ店長やライダー、イントラさんの意見を総合して、
- グラトリにおすすめの板
- カービングにおすすめの板
- ラントリにおすすめの板
- 軽量な板
- オールラウンドに乗れる板
- パウダーにおすすめの板
…等、ジャンル別のおすすめ板をまとめています。
具体的なモデルを検討したい方は以下の記事を参照ください。
→元イントラが厳選!ジャンル別おすすめのスノーボード板92選!
キャンバー、可変キャンバー、ダブルキャンバー、ロッカー形状の違い
キャンバーや可変キャンバーというのは、板を真横から見た時の形状の違いです。
厳密にいえばダブルロッカーやフラットといった形状もありますが、今はほとんど流通してないので、今回は割愛させていただきます。
とりあえず上記の4種の特徴さえつかんでおけば大丈夫です。
次項から形状別の乗り心地の違いについて解説させていただきます。
究極の反発力&グリップ力!キャンバー

キャンバーボードの特徴は、究極のグリップ力と反発力です。
図のように、雪面に対して2箇所しか接していないので、自身の体重がすべて2点に集中します。(実際はたわみますので、2点だけしか接してないというのはイメージです。)
野球やサッカーのスパイクをイメージすると分かりやすいですね。雪面をしっかり捉え、高速時や荒れたコースでも安定して滑ることができます。

またキャンバー形状はオーリー・ノーリーでより高く飛ぶことができるのです。GIFを見れば一目瞭然、中心のアーチがバネの役割を果たします。
しかし、メリットばかりではありません。
まず点で支えているので、他の形状に比べ逆エッジのリスクが格段に高いです。またアーチ部分のバネを使ってジャンプするには、ある程度技術が必要。
かなりのテクニックが要求される形状ですので、キャンバーは中・上級者向けの板と言えるでしょう。
操作しやすく逆エッジも防げる!ダブルキャンバー

ダブルキャンバーボードは、1枚のボードに2つのキャンバー(アーチ)があるボードです。
接雪点が3つあるので低速でも操作しやすく、キャンバーよりも逆エッジのリスクが低減します。グラトラーはもちろん、初心者の方にもおすすめの形状ですね。
ただし、反発力・グリップ力は弱いので、オーリーで高さが出しづらかったり、高速カービングでの安定感が悪いです。
軽快でマイルドに乗れる!可変キャンバー

近年トレンドになっているのが可変キャンバー形状です。ブランドによって、ハイブリットキャンバー、フラットキャンバー、バリアブルキャンバーなど様々な呼び名がありますね。
可変キャンバーはその名の通り、通常はキャンバー形状ですが、踏み込んで板がたわむとノーズ(先頭)・テール(後方)がせり上がり可変します。
この可変する形状により、キャンバーのようなグリップ・反発力を保ちつつ、操作性が格段に向上しました。
ターンのしやすさから、入門〜上級者モデルまで多くの板に採用されている形状です。
ただし飛び抜けた特徴がないので、がっつり高速カービングする方や、逆に低速グラトリしかやらない方には中途半端に感じるかもしれません。
深雪での浮力が抜群!パウダーロッカー

パウダーロッカーは、その名の通り深雪に特化した形状です。船底やサーフボードに近いシェイプで、パウダーでは抜群の浮力を誇ります。
パウダーボードではこの形状を採用していることが多いです。
ただし圧雪には不向きなので、ゲレンデクルージング中心のボーダーさんは候補から除外していいと思います。
形状別おすすめのボード30選

以下の記事ではダブルキャンバー、可変キャンバー、ハイキャンバー形状の中から、評判の良いモデルのみを厳選してチョイスしました。
形状別のおすすめモデルが知りたい方は合わせて参照ください。
→ダブキャンから可変、フルキャンバーまで!形状別おすすめのボード30選
元イントラが教える!正しいスノーボード板の選び方

「スノーボードの形状の違いは分かったけど、板の長さや硬さはどうやって選ぶの?」なんて方も多いと思います。
とりあえず以下の3つの項目だけチョイスすれば、あなたにピッタリの板を選ぶことができますよ!
- ボードのシェイプ(形状)
- ボードのサイズ(長さ)
- ボードのフレックス(硬さ)
すでに形状は決まっていると思うので、あとは長さと硬さを決めるだけですね。
次項から順番に解説します。
ボードの長さは身長ではなく体重で選ぶ
■男性のボードサイズ目安表
体重 | 初心者/オールラウンド | カービング/ラントリ | グラトリ/パーク | オールマウンテン/パウダー |
---|---|---|---|---|
55kg未満 | 148cm | 150cm | 148cm | 150cm |
55kg〜 | 148cm | 150cm | 148cm | 152cm |
60kg〜 | 150cm | 152cm | 148cm | 154cm |
65kg〜 | 152cm | 154cm | 150cm | 156cm |
70kg〜 | 154cm | 156cm | 152cm | 158cm |
75kg〜 | 156cm | 168cm | 154cm | 160cm |
80kg以上 | 158cm | 160cm | 156cm | 160cm |
■女性のボードサイズ目安表
体重 | 初心者/オールラウンド | カービング/ラントリ | グラトリ/パーク | オールマウンテン/パウダー |
---|---|---|---|---|
45kg未満 | 138cm | 140cm | 136cm | 142cm |
45kg〜 | 140cm | 142cm | 138cm | 144cm |
50kg〜 | 142cm | 144cm | 140cm | 146cm |
55kg〜 | 144cm | 146cm | 142cm | 148cm |
60kg〜 | 146cm | 148cm | 144cm | 150cm |
65kg以上 | 148cm | 150cm | 146cm | 152cm |
よく「身長-15〜-20cmが適正サイズ」なんて言われますが、実はウソなんです。
そもそも同じ身長だからって、体重60kgの人と体重120kgの人が同じ長さの板っておかしいですよね。身長で板の長さを選んでしまうと、転倒が増えたり、コントロールが難しくなります。
上記の目安表を参考にしてください。各ブランドの推奨体重をもとに平均値を割り出しているので、上記の体重を目安にすれば適正な長さを選ぶことができます。
※一般的なラウンドボード(半円)の有効エッジを元に算出しています。
自分のレベル・志向に合わせてボードのフレックス(硬さ)を選ぶ

ボードの長さが分かったら、次はボードのフレックス(硬さ)を決めていきます。
基本的に硬くなるほどグリップ力・反発力は増すが、コントロールがシビアで操作が難しくなると思ってください。
初心者の方やグラトリをやりたい方はソフトフレックス。カービングやラントリ、高回転のグラトリがやりたい方はミドルフレックスをおすすめします。
操作性とグリップ・反発力のバランスが優れた、ミドルソフトという中間のフレックスもあります。
ちなみにハードフレックスはモデル数が少なく、カービングやハーフパイプ・キッカー(ジャンプ台)の超上級者しか使いませんので、よほどこだわりがなければ候補から除外してください。
「有効エッジってなに?」「ツインとかディレクショナルの意味は?」など、さらに詳しくボード選びのコツを知りたい方は、以下の記事も参照ください。
板の先端(ノーズ・テール)の形状の違い→5つの意味があるよ

普通スノーボードの先端といったら半円型(ラウンド形状)ですよね。でも、中には尖っていたり角ばっていたり、様々な形状のボードがあることに気づきます。
実はあえて先端を変形にしている理由は5つあるのです。
- 軽量化
- 浮力を得るため
- 有効エッジを長くするため
- ターンを円滑にするため
- ただのお遊び
事項から順番に説明します。
軽量化

ノーズ(先頭)とテール(後方)を削り軽量化することで、ボードの取り回しがよくなります。(スイングウエイトの軽減)
スクエア型と呼ばれており、フリースタイルボードに採用されることが多い形状です。
浮力を得る

いわゆるパウダーボードの形状ですね。
板の先端の形を変えることで、
- 深雪で浮力を得やすくなる
- 操作感が変わる
- スピードレンジが上がる
などの効果があります。
パウダーボードの先端について詳しく話すととんでもない文字数になるので、気になる方は以下の記事も参照ください。
→メジャーから玄人向けまで!おすすめのパウダーボード30ブランド
有効エッジを長くするため

カービングボードとしておなじみのハンマーヘッドは、先端を潰れたような形状になってます。
カービング時のグリップ力を得るために、少しでも有効エッジを長くしたいのですが、ラウンドトップだと動きが鈍重になってしまいます。(単純に板が重くなってしまう)
ハンマーヘッドはノーズ・テールを短くすることで、有効エッジの最大化と軽量化を実現してるんですね。
ハンマーヘッドを検討中の方は、以下の記事も参照ください。
ターンを円滑にするため

アシンメトリー形状は、ヒール・トゥの間隔を変えることでターンを円滑にする効果があります。
パークボード、パウダーボード、カービングボードなど、様々なスタイルのボードで採用されています。
ただのお遊び

実はただのお遊びで変形させているボードも珍しくありません(笑)多少ノーズやテールの形状を変化させても、ほとんど滑走には影響ありませんからね。
「ゲレンデで目立ちたい!」なんて方は、あえて変形を選んでみても面白いかもしれません。
スノボ板のノーズ・テールの見分け方→ビス穴までの長さ

「ボードを買ったんだけど、ノーズとテールがどっちか分からない…」なんて方も多いと思います。
実は見分け方はとっても簡単なんですよ。
板の先端から最初のビス穴までの長さを測ってみてください。長いほうがノーズになります。
先端からビス穴までの長さがノーズ・テールで同じだったら、ツインボードです。シンメトリー(左右対称)なので、どちらが先頭でも構いません。
スノーボード板の寿命は?→10年が目安
スノーボード板の寿命は10年を目安にしてください。。なぜなら製造物責任(PL)法では、損害賠償請求権は「その 製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過した時」に消滅するからです。
つまりメーカー側としては「販売から10年以上経った製品は保証できない」ということになります。そりゃ木材や接着剤が何十年ももつわけないですからね。
実際、スノーボード板の中古市場も、10年を境に大きく値が下がります。
もちろん乱暴な使い方をせず、しっかりメンテナンスすれば10年以上乗れます。ただし、耐久性が落ちることは考慮しておきましょう。
スノーボードが長持ちするメンテナンス方法

スノーボード板のメンテナンス方法は以下のとおりです。
■ビンディングを外す
ビンディングをつけっぱなしにしておくと、変形やサビの原因となります。できればスキー場へ行く毎に外しましょう。
■十分に乾燥させる
十分に乾燥させることで、酸化による腐食を防ぎます。特に乾きにくいのがネジ穴ですので、滑走当日以外はビンディングを外しましょう。
■ワックスを塗る
ワックスは滑りを良くする他、腐食からソールを保護する効果もあります。定期的にワックスを塗布しましょう。
■直射日光の当たらない屋内で保管
車内はもちろん屋外のガレージや物置は湿度・寒暖差が激しいので、ボードを傷めてしまいます。必ず屋内保管しましょう。
スノーボードギアのメンテナンス方法については、以下の記事に詳しく書いています。気になる方は合わせて参照ください。
→初心者でも簡単!スノーボード、バイン、ブーツ、ウェアの正しい保管方法
まとめ
形状の違いについてはいろいろなサイトに記載がありますが、
「なぜオーリーしやすいのか?」
「なぜ逆エッジしにくいのか?」
…など、理論的にまとめたものがなかったので記事にしてみました。
ぜひご自身のスタイルを元に、形状にとことんこだわってボードを探してみてください。
きっとあなたにピッタリの板に出会えるはず!