こんにちは、20年以上スノーボードしている、らくスノです。
ターン時に足先やビンディングが雪面に当たることを業界用語でドラグ(drag)といい、減速や転倒・バランスを崩す原因となります。
がっつり前ふりセッティング(前36度、後27度等)以外の方がカービングをやろうとすると、ドラグ問題は切っても切り離せないですよね。
まずドラグにはブーツドラグとビンディングドラグがります。ブーツドラグの解決方法は、ずばり太い板に乗るしかありません。
ビンディングドラグの解決方法は以下のとおりです。
- プレートでビンディングの高さを底上げする
- セットバックを入れる
- ヒールカップが高いモデルを選ぶ
- リアエントリービンディングを選ぶ
- トーストラップの被せ方を工夫する
今回はブーツドラグとビンディングドラグの解決方法についてお話したいと思います。
この記事を最後まで読めば、ドラグを完璧に防ぎ、キレキレのカービングができるようになります。
目次
ドラグとはブーツが雪面に当たること→減速や転倒の原因になる

ブーツやビンディングが板のウエストからはみ出していると、ボードを立てたカービングした時に雪面に当たりますよね。
そのことを専門用語でドラグ(drag)って言います。(英語で引きずるなんて意味があります)
私が説明するまでもなく、ブーツが雪面に当たると減速やバランスを崩したりと良いことはありません。
さらに最悪なのがビンディングのドラグ。いきなりエッジがすっぽ抜けて転倒するので、とても危険なんですよね。
がっつり体を倒してカービングするなら板が90度倒せるとベスト

上記は以前取材させていただいた菅谷プロから提供いただいた写真。
一見するとボードが70度くらいしか傾いてないように感じますが、実際は斜面の角度もプラスされるので、やはり90度くらいはドラグすることなく板が立てられるとベストですよね。
次項からは具体的なドラグ防止法についてお話します。
ブーツドラグを防ぐには自分の足サイズ以上の太い板に乗るしかない

カービングに特化したがっつり前ふりセッティングはむしろ少数派。どんなスタイルでも遊べる前24度、後3度くらいのナチュラルスタンスとか、前15度、-15度くらいのダッグスタンスの方が圧倒的に多いと思います。
でも、がっつり前ふり以外でカービングしようとすると、ドラグの問題は切っても切り離せなくなりますよね。

まず板にブーツとビンディングをセットしてみてください。裏側から板を見た時にブーツがはみ出ている場合は(ブーツドラグ)、もう太い板に買い替えるしかありません。(特につま先側のブーツがはみ出る方が多いと思います。)
もちろんセッティングである程度は調整できますが、ドラグを気にするあまりセンタリングがズレたり、乗りづらいスタンスになっては本末転倒ですからね。
ボードを極限まで立てたカービングをしたいなら、板の買い替えを検討しましょう。
正しいビンディングのセッティング方法については、以下の記事を参照ください。
→初心者でもできる!スノーボードのセッティング・調整方法教えます
「板のウエストサイズ+2cm=ブーツサイズ」が購入基準

ではブーツドラグを防ぎたい場合、具体的にどのくらいのウエスト幅の板を選べばよいのでしょうか。
まずブランドホームページなどで板のウエストサイズは表示されていると思います。
とはいえウエストは板の一番細い部分のサイズ。実際は、ノーズ・テールに近づくにつれて3〜4cmくらい太くなります。
だから「ウエストサイズ+2cm=ブーツサイズ」を購入する板の目安にしてください。たとえば足サイズ27cmの方でしたら、ウエストサイズ25cmの板を購入の基準としてみましょう。
あくまで基準です。実際はブランドによってブーツの実寸は違いますし、セッティング角度によってもはみ出る割合は変わってきます。
よりシビアにサイズを調整したい方は、やはり試乗会に行ったり、ショップに相談するのがベストです。
とにかく太い板に乗ればよいというわけではない
ここまで読んで「じゃあとにかく太い板に乗ればいいのか!」と思った方も多いと思いますが、そういうわけでもありません。
あくまでブーツに対してジャストサイズがベスト。なぜなら、板が太くなればなるほど板が立てづらくなるからです。
実際極太のパウダーボードに乗るとわかりますが、圧雪バーンではターンの切り替えがもたつきタイミングもずれるので、とても乗りづらい…
極限まで体を傾けてキレのあるカービングをしたいなら、細すぎても太すぎてもいけません。
ビンディングドラグ5つの対処法
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「太い板を買ったらブーツははみ出さなくなったけど、ボードを傾けるとビンディングが接触する」なんて方も多いと思います。いわゆるビンディングドラグですね。
もちろん90度倒せるようになるのがベストです。しかし、実際はある程度傾けるとビンディングが接触してしまうんですよね。
とはいえビンディングドラグまで板の太さでカバーしようとすると、ターンの切り替えが鈍重になり、どんどん板が立てづらくなります。
では、これ以上板を太くすることなく、ビンディングドラグを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?
- プレートでビンディングの高さを底上げする
- セットバックを入れる
- ヒールカップが高いモデルを選ぶ
- リアエントリービンディングを選ぶ
- トーストラップの被せ方を工夫する
次項から順番に説明していきます。
プレートでビンディングの高さを底上げする

上図のように、ボードとブーツの間をプレートで底上げすれば、はみ出る角度が減少するのでドラグ防止になります。
OJKではカービング・アルペン用プレートだけでなく、グラトリ・パークなどフリースタイル用のプレートもラインナップしています。
さらにフレックスを損なわないドラグ防止用(ドラグダケ)プレートも販売しているので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
大人気のドラグダケ!メリットはフレックスを損なわないこと
OJKから販売されている、大人気フリーライドプレート「ドラグダケ」。
そもそもプレートを入れるとボードが硬くなるので、パーク・グラトリ・ラントリユーザーからは敬遠されてました。
でも、ドラグダケは柔らかいのでボードのトーション・フレックスを損なうことなく、名前のとおり”ドラグだけ”を防止するプレードになってます。
だからドラグダケがあれば、フレックス全開のフルオーリーからビッテリーまでこなせてしまうんです。特にラントリスタイルの方におすすめです。
セットバックを入れる

セットバックを入れるとよりウエストが太いテール側に寄るので、後ろ足がはみ出なくなります。
前30度後0度みたいに、「前足は振るけど後ろ足は振らない」なんてナチュラルスタンスの方は、セットバックで調整するものありだと思います。
ただし、乗りづらくなっては本末転倒。あくまでご自身が乗りやすいことが大前提なので、許容範囲内で調整しましょう。
セットバックのメリット・デメリットについては以下の記事を参照ください。
→スノボのセットバックとは?→有効エッジの真ん中より後方に重心をずらすこと
ヒールカップが高いモデルを選ぶ

ヒールカップの高いモデルをチョイスすることで、よりドラグしづらくなります。
たとえばフラックスXFは、よりヒールカップを高くすることで、カービング時のドラグを低減しています。
ヒールカップが高いと、テコの原理でバックサイドターン(背中側のターン)のレスポンスが良くなるというメリットもありますね。
リアエントリービンディングを選ぶ

前項ではヒールカップがドラグの要因になるとお話しました。でも、ナイデッカー(フロー)やSPのリアエントリーバインディングは、元々ヒールカップが無いのでドラグ防止になります。
→リアエントリーのメリット・デメリットとおすすめモデルも教えます!
トーストラップの被せ方を工夫する

写真のように、トーストラップをブーツに被せるように装着することで、トーサイドターン時にドラグしづらくなります。
ただし、フラックスXFなど、ブランドやモデルによってはつま先にしか被せることができないこともあります。
極端に足サイズが大きい方は海外ブランドやオーダーの検討も
以前よりだいぶ太い板が増えたとはいえ、現状国内ブランドのボードは28cmくらいまでの足サイズしか対応してません。
では28cm以上の足サイズの方はどうすればいいか。
まず国内ブランドではなく海外ブランドを中心に板探しをしましょう。バートンやネバーサマー等…当然ながら大柄な欧米人をターゲットにしている海外ブランドのほうが太い板を扱っている場合が多いです。
ただし、正規代理店だと日本国内で売れやすいボードサイズしか入荷しません。(そもそもホームページに掲載されてない)ですので、本国のサイトを直接見たほうが良いです。
また、米国コロラドにあるDONEKというブランドは、カスタムオーダーができます。ウエスト30cm超の極太板も作れるので気になる方はチェックしてみてください。(ただしすべて英語です。)
友人のショップ店長やイントラに聞いた!おすすめのボード
ブランド/モデル | 形状① | 形状② | フレックス |
---|---|---|---|
キャピタ/KAZU KOKUBO | ラウンド | ディレクショナル/キャンバー | ミドルハード |
オガサカ/CT※ | ラウンド | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
BCストリーム/S※ | ラウンド | ディレクショナル/可変キャンバー | ミドル |
モス/リボルバー※ | ラウンド | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
オガサカ/オルカ | ラウンド | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
ナイデッカー/ブレード | ラウンド | ディレクショナル/キャンバー | ミドルハード |
オガサカ/FC※ | セミハンマー | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
モス/RRR※ | セミハンマー | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
BCストリーム/DR※ | ピンテール | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
BCストリーム/R-2※ | ハンマー | ディレクショナル/可変キャンバー | ミドル |
グレイ/デスペラードTi※ | ハンマー | ディレクショナル/キャンバー | ハード |
モス/ツイスターフリーダム※ | ハンマー | ディレクショナル/キャンバー | ミドル |
ヨネックス/スラスト | ハンマー | ディレクショナル/可変キャンバー | ミドル |
筆者の友人であるショップ店長やプロライダー・イントラさん達の評価を元に、ワイドボードを含めたおすすめの板をピックアップしてみました。
上記のように、カービングボードだけで13種も特集してます。
ワイドボードをお探しの方は、合わせて参照ください。
→元イントラが厳選!ジャンル別おすすめのスノーボード板92選!
まとめ
ドラグにはブーツドラグとビンディングドラグがあります。
まずブーツドラグを防ぐには、ブーツサイズ以上の太い板に乗るしかありません。
ビンディングドラグは5つの方法で対処することができます。
- プレートでビンディングの高さを底上げする
- セットバックを入れる
- ヒールカップが高いモデルを選ぶ
- リアエントリービンディングを選ぶ
- トーストラップの被せ方を工夫する
ドラグはカービングで板を立てられないのはもちろん、減速やエッジ抜けによる転倒の原因にもなるので、安全面からも防止したいところです。
ぜひ当記事を参考に、ドラグ対策をしていただければと思います。