スノボのセットバックとは?→ビンディングを有効エッジの中心より後へずらして設置すること

スノボのセットバックとは→有効エッジの真ん中よりテール側に重心をずらすこと

こんにちは、元スノーボードインストラクターの、らくスノです。

セットバックとはビンディングを有効エッジの真ん中よりテール側(後方)へずらして設置することです。

ビンディングをテール側に移動させることで、

  • パウダーでより浮力を得ることができるようになる
  • 転倒しづらくなる
  • 前ふりスタンスで角付けがしやすくなる

といったメリットがあります。

今回はセットバックの意味やセッティング方法について詳しく解説したいと思います。

この記事を最後まで読めば、ご自身がセットバックすべきか分かるようになりますよ!

元イントラでスノーボード専門ライター。数々の有名ライダーと取材経験あり。元々スロープスタイルの選手でしたが、 引退後はカービングやバックカントリーを中心にスノーボードを楽しんでいます。

スノボのセットバックとは→ビンディングを有効エッジの真ん中よりテール側にずらして設置すること

スノボのセットバックとはビンディングを有効エッジの中心よりテール側へずらすセッティングのことです。

セットバックとはビンディングを有効エッジの真ん中よりテール側(後方)にずらして設置することです。

有効エッジとはノーズ(先頭)・テール(後方)の一番太い部分をつなぎ合わせた長さのこと。

よく「板のセンターから後方にずらす」と勘違いしている方が多いですが、正確には違います。

では、乗る位置を後方にずらすことで、どんなメリットがあるのでしょうか。

セットバックする3つのメリット

セットバックをすると3つのメリットがあります。

  • パウダーでより浮力を得ることができるようになる
  • 転倒しづらくなる
  • 前ふりスタンスで角付けがしやすくなる

次項から順番に説明していきます。

パウダーでより浮力を得ることができるようになる

パウダーではノーズの面積が広いほど浮力がアップします。逆にノーズが狭いと雪に沈みやすくなります。

パウダーではノーズ(先頭)の面積が広いほど浮力を得やすくなります。

逆にノーズの面積が狭いと、板の形状によってはどんどん沈んでしまうのです。当然ながら雪に沈むほど失速していき、最後は止まってしまいます。

たとえば当日がゴン降りなら、少しセットバックを入れると、浮遊感のあるパウダーランを楽しむことができますよ。

転倒しづらくなる

転倒しそうになっても、踏ん張れる面積が大きいほど(ノーズが長いほど)、耐えることができるようになります。

セットバックを入れると、転倒しそうになっても、より耐えることができるようになります。

要はノーズが長いほうが踏ん張れる面積が広いので、より強い衝撃に耐えられるというわけです。

またボコボコバーンだった時、急に雪に刺さって転倒することがあります。これがめちゃくちゃ危険なんですよ…

でも、セットバックを入れてノーズを長くすれば、雪面に乗り上げてくれるので刺さりづらくなります。特に荒れたバーンや春のストップ雪で効果を発揮しますね。

前ふりスタンスで角付けがしやすくなる

たとえば定規は長いほうがよくしなりますよね。ボードも一緒。つまりノーズが長いと角付けしやすくなるというわけです。

「カービングが上手い人はセットバック入れてる」ってイメージありますよね。

なぜカービング上手い人がセットバックを入れるかというと、ノーズのトーション(板のねじれ)が使いやすくなるからです。

たとえば定規は、短いより長いほうがよくしなりますよね。

「ノーズのトーションが使いやすくなるとどうなるか」というと、スムーズに角付けができるようになります。

前振りスタンスの人って、どうしてもエッジング(エッジを踏む力)が弱くなるんですよ。だから、少ない力でもスムーズに角付けできるようにセットバックを入れるわけですね。

「難しいことはわからないよ!」という方は、とりあえず曲がりやすくなると考えてもらえばOKです。

セットバックのセッティング方法→左右のネジ穴を後ろにずらすだけ

セットバックのセッティング方法は超簡単!同じビス穴分
左右のビンディングを後ろにずらすだけ。

セットバックのセッティングはとても簡単。左右のビンディングのネジ穴を、同じ数だけ後ろにずらせばいいだけです。

スタンス幅が変わってしまうので、片方だけずらさないようにしましょう。

ビンディングのディスクを横軸にすると微調整もできる

ビンディングのディスクを横軸にするとスタンス幅を微調整できる

ネジ穴だけだと、大まかなセッティングしかできません。微調整をしたい場合は、ビンディングのディスクを横軸にして設置してみましょう。

フラックスの場合、0.5〜2cmの間で調整できます。

日本一分かりやすい!スノーボードバインディングの付け方、外し方教えます

もともとセットバックが入った板もある(ディレクショナルボード)

スノボ板のノーズ・テールの見分け方→ビス穴までの長さ

もともとセットバックが入った状態で販売されている、ディレクショナルボードという板もあります。

前述の通り、セットバックは前ふりカービングがやりやすくなるので、ディレクショナルボードもカービング板に多く採用されています。

ディレクショナルボードに乗っているなら、あえてセットバックを入れる必要はないかもしれません。

ご自身の板にセットバックが入っているか分からない方は、板の先端から最初のビス穴までの長さを測ってみてください。長いほうがノーズになります

セットバックってどのくらい入れたらいいの?→有効エッジのセンターを保てるくらい

セットバックは、ひざを入れたときに重心が有効エッジのセンターの真上に位置するくらいがベストです。

「セットバックはどのくらい入れればいいの?」

そもそもほとんどの板は、有効エッジのセンターに重心があることで一番性能が発揮できるようにできています。

だから、ご自身がターンする姿勢になった時、体の重心が有効エッジのセンターの真上に位置するくらいがベストです。

逆にセットバックを入れすぎると、センターに乗れなくなるので板の性能を生かしきれません。

どちらにしろ、いきなりセットバックを入れすぎると違和感が強いです。最初はビス穴1つ分ずらして、どのくらい乗り味が変わるか試してみましょう。

ダッグスタンスではセットバックを入れないのがセオリー

ダッグスタンスでは前後動ができません。つまり重心をセンターに移動できないので板の性能を十分に発揮できなくなります。

ダッグスタンスではセットバックを入れないのがセオリーです。まずカービングの角付けだけを考えれば、ダッグスタンスはエッジングしやすいので、わざわざ入れる必要がないんですよ。

逆にセットバックを入れてしまうと、エッジを踏む力が強すぎて「ターンのズレ」の原因にもなります。

また人間の骨格上、ダッグスタンスでは前後動ができないのもセットバックを入れない理由の一つです。

ぜひその場で試してみてください。足を逆八の字に開きひざを曲げた状態でノーズ側・テール側に身体を動かしてみます。

そう、動かないんですよ。そりゃ強引にやれば動きますが、ひざの負担が半端ないですよね(笑)「前後動ができない→重心をセンターに移動できない→板の性能を十分に発揮できなくなる」なんです。

フェイキースタンスで滑りづらくなる

セットバックはフェイキー(逆足)で滑りづらくなるのも大きなデメリットです。短いテール側が先頭になるので、滑りづらいのは当然ですよね。

特にダッグスタンスはグラトリやパーク系の方が圧倒的に多いと思います。そうなるとフェイキーで滑りづらいというのは致命的です。

フェイキーを多用する方は、あえてセットバックを入れる必要はないでしょう。

バインディングのスタンス幅や角度の決め方

身長スタンス幅の基準値
160cm未満48cm
160cm〜50cm
165cm〜52cm
170cm〜54cm
175cm以上56cm

セットバックとともに重要なのがスタンス幅です。セッティング位置を間違えると上達の妨げや怪我の原因になることもありますからね。

まずはご自身のスタンス幅の基準値を知ることから始めましょう。

よく「スタンスは肩幅を基準に!」なんて言われますが、計測位置で誤差が出やすいですし、一人だと測ることができませんよね。

ご安心ください、わざわざ肩幅を測らなくても上記の表を目安にすればOKです。上の表は日本のプロライダーやイントラさんの平均値から算出してます。

海外だとスタンス幅58cm以上に設定しているプロもいますが、日本だと180cm以上の高身長の方でも56cm以上に設定している方はほとんどいないです。

女性も同じ。身長150cm未満のライダーさんでも、48cmより狭める方はほとんどいません。

ですので、基本はスタンス幅48〜56cm以内で収めるのがおすすめです。

ビンディング角度のおすすめ

おすすめのビンディング角度

スノーボードの角度は大きく分けて、カービングにおすすめの前ふりスタンス、万能に滑れるナチュラススタンス、トリックがやりやすいダッグスタンスの3種類があります。

自分のスタイルや目的に合わせて、まずは3種類の中から適切なスタンスを選んでみましょう。

以下の記事ではスタンス幅・角度の決め方や微調整の方法について、専門用語を一切使わず日本一分かりやすく解説しています。

スノボ初心者でも簡単!バインディングの角度・スタンス幅の決め方

初心者でもできる!ビンディング本体のセッティング方法

バインは5か所セッティングすればOK!

スノーボードの設置箇所だけでなく、ビンディングのセッティングにもこだわってみましょう。

■ビンディングの調整箇所

  • ストラップ
  • ガスペダル
  • フォワードリーン
  • ローテーション
  • ベースプレート

以下の記事では各部分の調整する意味や方法をまとめているので、セッティングしてみましょう。

自分に合ったセッティングをすることで、劇的に滑りやすくなりますよ!

初心者でもできる!スノーボードのセッティング・調整方法教えます

元イントラが厳選!スタイル別おすすめの板92選

おすすめのスノーボード板

以下の記事では筆者の友人であるスノボショップ店長やライダー、イントラさんの意見を総合して、

  • グラトリにおすすめの板
  • カービングにおすすめの板
  • ラントリにおすすめの板
  • 軽量な板
  • オールラウンドに乗れる板
  • パウダーにおすすめの板

…等、ジャンル別のおすすめ板をまとめています。

具体的なモデルを検討したい方は以下の記事を参照ください。

元イントラが厳選!ジャンル別おすすめのスノーボード板92選!

まとめ

セットバックとは有効エッジの真ん中よりテール側(後方)へ重心をずらすこと。

重心をテール側に移動させることで、

  • パウダーで浮力を得ることができるようになる
  • 荒れたバーンでも転倒しづらくなる
  • 前ふりスタンスで角付けがしやすくなる

といったメリットがあります。

とはいえ「とにかく入れれば良い」ということではありません。特にダッグスタンスやフェイキーを多用される方は、あえて入れる必要はないと思います。

あくまで重心がセンターに保てる範囲で、少しずつセットバックを入れていきましょう。

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ABOUT US
らくスノさん
スノーボード歴22年の自称育メンボーダー。北海道出身の父の影響で小学生からスキーをはじめ、18歳でスノーボードに出会う。学生時代に留年してまで山にこもり大会などにも出場するが、就職を機に趣味となる。現在は娘も幼いためあまり滑りにはいけないが、いつか子どもとスノーボードに行くのが楽しみ。