こんにちは、元スノーボードインストラクターの、らくスノです。
まず結論から知りたい方のために、ビンディングの推奨角度とスタンス幅の目安表を作りました。
■ビンディングの推奨角度
左足 | 右足 | |
---|---|---|
初心者 | 18~30度 | 9~24度 |
グラトリ・パーク | 9~18度 | 0~ー15度 |
カービング・ラントリ | 24~36度 | 9~27度 |
オールラウンド(フリーライド) | 18~24度 | 3~ー6度 |
パウダーラン | 15~36度 | 6~ー6度 |
■推奨スタンス幅
身長 | スタンス幅の基準値 |
---|---|
160cm未満 | 48cm |
160cm〜 | 50cm |
165cm〜 | 52cm |
170cm〜 | 54cm |
175cm以上 | 56cm |
初心者・初級者の方は目安表を元にセッティングすればOKです。
でも、カービング、グラトリ、パウダーラン、パーク…志向するスタイルを極めたいなら、さらに細かく調整する必要があります。
今回の記事では角度・スタンス幅の決め方から微調整の方法まで、初心者の方にも分かるように解説していきます。
この記事を最後まで読めば、スノーボードが劇的に滑りやすくなりますよ!
目次
スノーボードのスタンスとは→滑っているときの構え
3つの要素で構成されています。-600x338.jpg)
スノーボードのスタンスとは、「滑っているときの構え」と考えると理解しやすいです。
スケートボードやサーフボードなど他の横乗りスポーツとは違い、スノーボードはビンディングで足を固定されているので、セッティングによって「構え」を変える必要があるんですね。
具体的にはレギュラーorグーフィー、角度、両足間の長さの3つの要素でスノーボードの「構え」は成り立っています。
この記事では、これら3要素の決め方や、セッティングの違いで滑りがどう変わるか解説していきます。
角度やスタンス幅を調整する意味→コントロールしやすくなる

そもそも「ビンディングのスタンス角度やスタンス幅を調整する意味がいまいちよく分からない」という方も多いと思います。
車の運転席を想像すると分かりやすいですよ。
運転する前に座席の角度や前後の位置、バックミラーを調整しますよね。ビンディングの調整もまったく同じ意味です。
つまりスノーボードをコントロールしやすくするために、角度やスタンス幅を調整するわけです。
最初はプロライダーや推奨角度を真似てみることをおすすめします
車の座席調整と一緒。スタンスは感覚なので、正解がありません。
たとえ身長体重が同じでも、人によってコントロールしやすい角度や位置は異なりますからね。
とはいえ、初心者の方はなにか指標がないと決められないですよね。
だから元イントラの筆者は現役時代生徒さんに、
- ボールの蹴りやすいほうが利き足
- 角度はプロライダーやおすすめ角度を真似てみる
- スタンス幅は身長×0.32で目安を求める
というやり方を推奨してました。
実際、このやり方で「乗りやすくなった!」という生徒さんの喜びの声をたくさん聞きました。
では、次項からスタンスの決め方についてお話していきます。
ビンディング角度のおすすめ→スタイル別の推奨アングル参考にする

左足 | 右足 | |
---|---|---|
初心者 | 18~30度 | 9~24度 |
グラトリ・パーク | 9~18度 | 0~ー15度 |
カービング・ラントリ | 24~36度 | 9~27度 |
オールラウンド(フリーライド) | 18~24度 | 3~ー6度 |
パウダーラン | 15~36度 | 6~ー6度 |
手っ取り早く推奨スタンスを知りたい方のために目安表を作りました。まずは上記のスタンスを例に角度を決めていきましょう。

脚に負担がかかるので、特別な理由がない限り左右の開きは30度以内に収めてください。
ターンするだけなら圧倒的に正面向きのほうが滑りやすい

角度には両足が正面を向いたレギュラースタンスと足を八の字に開いたダックスタンスがあります。
そして、普通にターンするだけだったらレギュラースタンスのほうが圧倒的に滑りやすいんです。理由は3点。
- そもそも人間は正面を向くことに慣れているので、レギュラースタンスのほうが違和感がない
- 出尻ターンになりにくい(姿勢が安定する)
- 前後へ荷重しやすいので、コブや荒れたバーンに強い
だから初心者の方やカービングスタイルの方には、両足が正面を向いたレギュラースタンスがおすすめなんですね。
ダッグスタンスのメリット→スイッチで滑りやすくなる
ダッグスタンスの一番のメリットは、スイッチで滑りやすいということです。セオリー通りで行けば、トリックやスイッチを多用される方はダッグスタンスがおすすめです。
ツインチップのボードと相性が良かったり、スピン系トリックがやりやすいのもダッグスタンスの特徴です。
ただし、スイッチをしないカービング勢でも、「単純に滑りやすいから」という理由でマイナス方向に振っている方もいます。前後の可動域に制限がある分、逆に重心も安定するので、オートマチックにカービングできると言うわけです。
オールラウンドやパウダーランは後ろ足フラットがおすすめ

オールラウンドやパウダーランといったスタイルでは、18度0度、15度ー3度など後ろ足にあまり角度をつけないスタンスがおすすめです。
まずオールラウンドの場合、ターンやトリックをバランス良くこなすために、後ろ足はマイナス方向にもプラス方向にも振らないフラットな角度が向いています。
パウダーランは基本は正面を向いて滑りますが、ボードをテール(後ろ足荷重)で操作する場面もあるので、後ろ足があまりに前フリだとコントロールしづらいのです。
また不意に障害物を避けたりする場面が出てくるので、柔軟に動けるフラットな角度が推奨されています。
角度(アングル)は好きなプロライダーを真似してもOK

難しいことは考えず、YouTubeなどを参考に自分の目指すスタイルに近いプロのスタンス角度を真似てみましょう。
あとはご自身の乗りやすい角度へ、徐々に微調整していきます。(微調整の方法は後述)
※紹介する角度(アングル)はレギュラースタンス(左足前)の方を想定してます。グーフィースタンス(右足前)の方は逆で考えてください。
※ボードやコンディションで変えるものなので、紹介するライダーさんが常に同じ角度で滑っているとは限りません。
グラトリライダーの角度
左足 | 右足 | |
---|---|---|
尾川慎二(スプレッド) | 6度 | ー6度 |
こきっすん | 9度 | ー9度 |
江端翔兵(クロージャ) | 12度 | ー9度 |
神保賢一(ノベンバー) | 12度 | ー12度 |
中川智貴(クロージャ) | 6度 | ー6度 |
ラントリ・カービングライダーの角度
左足 | 右足 | |
---|---|---|
平間和徳(ラマさん) | 36度 | 27度 |
瀧澤憲一(スノボー先生) | 12度 | ー12度 |
青木玲(スノーボード大学) | 30度 | 0度 |
いぐっちゃん | 15度 | ー12度 |
菅谷 佑之介(スプレッド) | 27度 | 18度 |
パーク・ジブライダーの角度
左足 | 右足 | |
---|---|---|
平野歩夢 | 15度 | ー6度 |
相澤亮 | 30度 | 0度 |
片山來夢 | 6度 | ー3度 |
角野友基 | 9度 | ー9度 |
谷口尊人(ピーカンファクトリー) | 21度 | ー9度 |
チョコバニラボール新井(チョコチャン) | 12度 | ー21度 |
パウダー・オールマウンテンライダーの角度
左足 | 右足 | |
---|---|---|
国母 和宏 | 15度 | ー15度 |
中井孝治 | 21度 | 0度 |
藤田一茂 | 21度 | 0度 |
天海洋 | 27度 | 6度 |
工藤洸平 | 18度 | ー6度 |
ビンディングの取り付け方法については以下の記事を参照ください。
実際に滑って角度を微調整してみよう!
ターン | トリック | |
---|---|---|
角度が深い | ヒールサイドターンがやりやすい | フロントサイドトリックがやりやすい |
角度が浅い | トゥサイドターンがやりやすい | バックサイドトリックがやりやすい |
人によって骨格・筋力は違うので、最適なスタンスも異なります。
だから推奨角度やライダーさんの真似をするだけでは、ベストなアングルとはいえません。
最近は推奨角度を教えてくれるスタンサーというサービスもありますが、基本的に答えはないです。
上記の表を元に、実際に滑りながら微調整していきましょう。
角度が深いほどヒールサイドターン・フロントサイドトリックがやりやすい

角度が深いほどヒールサイド(かかと側)ターンやフロントサイド側のトリック(F360など)がやりやすくなります。
たとえば「24度/9度にしてるけど、ヒールターンしづらい」なんてときは、27度/12度などに変えてみると、よりヒールターンしやすくなります。
ただし、深い角度のセッティングは「トウ(つま先)エッジに荷重しづらい」「バックサイド回転がやりづらい」などのデメリットもあります。
角度が浅いほどトゥサイドターン・バックサイドトリックがやりやすい

浅い角度はトウサイド(つま先側)ターンやバックサイド側(B360など)のトリックがしやすいです。
たとえば「21度/ー9度にしてるけど、B360が回しきれない…」なんてときは18度/ー6度にしてみると精度が上がります。
ただし「浅い角度はヒールターンがやりずらい」「フロント回転がやりづらい」などのデメリットもあります。
【中・上級者向け】前足・後足だけを微調整して、さらに精度を上げる
トゥサイド(バックサイド) | ヒールサイド(フロントサイド) | |
---|---|---|
レベル弱 | 前足の角度を浅くしてみる | 後足の角度を深くしてみる |
レベル中 | 後足の角度を浅くしてみる | 前足の角度を深くしてみる |
レベル強 | 両足の角度を浅くしてみる | 両足の角度を深くしてみる |
両足の角度を変えてしまうと、かなり乗り心地が変わってしまうんですよね。
より精度を上げるなら前足・後足だけ微調整してみましょう。
基本的に前足がヒールサイド(フロント側のトリック)、後足がトゥサイド(バックサイド側のトリック)に重要な役割を果たします。
たとえばトゥサイドターン、またはバックサイドトリックの精度を上げるなら、以下の手順で微調整してみましょう。
- レベル弱…精度を少しだけ上げるなら前足だけを浅く
- レベル中…さらに精度を上げるなら後足だけの角度を浅くする
- レベル強…大きく精度を上げるなら両足の角度を浅くする
要は角度を同じ3度浅くするにしても、前足より後足のほうが効きやすいということなんです。
ちょっとややこしいので、上図を参考に調整してみてください。
いずれにしろ、答えはありません。
ぜひ色々試して、あなたにベストな角度を探してみましょう。
スノーボードのスタンス幅を決める4つの手順

続いてはスタンス幅を決める手順についてお話したいと思います。
スタンス幅とは、両足のビンディング間の長さのこと。
なぜスタンスを調整するかというと、幅を広げたり狭めたりすることによって乗り心地が変わるんですね。一般的にはターン重視なら狭く、トリック重視なら広くがセオリーです。
スタンス幅は以下の順で決めていきます。
- スタンス幅の基準値を知る
- バインのディスクだけ取り出して設置するネジ穴を決める
- ターン重視なら広く、トリック重視なら狭くしてみる
- カービング・パウダーランメインならセットバックを入れてみる
次項から詳しく解説していきます。
スタンス幅の基準値目安表
身長 | スタンス幅の基準値 |
---|---|
160cm未満 | 48cm |
160cm〜 | 50cm |
165cm〜 | 52cm |
170cm〜 | 54cm |
175cm以上 | 56cm |
まずはご自身のスタンス幅の基準値を知ることから始めましょう。
よく「スタンスは肩幅を基準に!」なんて言われますが、計測位置で誤差が出やすいですし、一人だと測ることができませんよね。
ご安心ください、わざわざ肩幅を測らなくても上記の表を目安にすればOKです。上の表は日本のプロライダーやイントラさんの平均値から算出してます。
海外だとスタンス幅58cm以上に設定しているプロもいますが、日本だと180cm以上の高身長の方でも56cm以上に設定している方はほとんどいないです。
女性も同じ。身長150cm未満のライダーさんでも、48cmより狭める方はほとんどいません。
ですので、基本はスタンス幅48〜56cm以内で収めるのがおすすめです。
バインのディスクだけ取り出して設置するネジ穴を決める

ご自身のスタンス幅の基準値が分かったら、設置するネジ穴を決めます。
まずはビンディングのディスク部分だけを取り出し、ボードに乗せてみましょう。乗せるビス穴は左右ともに同じ位置です。
ディスクの中心部分を計測の起点として、左右の間の長さがご自身の基準値(私の場合54cm)になるように調整してください。

このとき片方のビンディング位置だけずらすと、ボードの重心が移動してしまうのでNG。

必ず左右同じビス穴ぶんだけ広げたり狭めたりしてください。
私はスタンス幅の基準値が54cm。
だから54cmになるまで、左右のディスクを広げたり狭めたりして調整します。

ちなみにディスクを横軸にすると、スタンス幅の微調整が可能です。フラックスの場合0.5〜2cmの間で調整できます。
ターン重視なら広く、トリック重視なら狭く

身長✕0.32というのはあくまで目安なので、実際はご自身の筋力や目指すべきスタイルによっても変わってきます。実際プロやイントラでも、このセオリーに当てはならない方は多いです。
- スタンス幅を狭くする…スピンしやすい、オーリーで高さを出せる
- スタンス幅を広くする…安定感、操作性が上がる
たとえばパーク・グラトリ好きならスタンス幅を基準値よりビス穴1個分狭く、カービング重視ならビス穴1個分広くしたほうが乗りやすくなるかもしれません。
いずれにしろスタンス幅に明確な答えはないので、ぜひいろいろ試してみてくださいね!
カービング・パウダーランメインならセットバックを入れてみる

セットバックとは有効エッジの真ん中よりテール側(後方)に重心をずらすことです。
そして「前ふりスタンスならセットバックを入れる、ダッグスタンスならセットバックを入れない」というのがセオリーです。
なぜなら前ふりスタンスはひざを入れる(曲げる)と重心がノーズ側(先頭)に移動するのに対し、ダッグスタンスはひざを入れても重心移動しないからです。
またノーズ(先頭)が広くなることで、浮力がUPという効果もありますね。詳しく知りた方は以下の記事も参照ください。
→スノボのセットバックって何?→重心を後ろへずらすことで浮力やコントロール性能がアップ
板からブーツがはみ出ても大丈夫?ドラグを防ぐ7つの方法

「推奨スタンス幅を元に設置したのはいいけど、板から足がはみ出るんですが…?」
ボードからはみ出したブーツが雪面に当たることをドラグと言います。
ただし、通常はヒール・トゥ(かかととつま先)それぞれ2cmくらいはみ出しても問題ありません。
では前後2cm以上はみ出している方、バリバリカービングする方はどうすればドラグを防ぐことができるのでしょうか?
■ドラグを防ぐ7つの方法
- ワイドボードに乗り換える
- プレートでバインディングの高さを底上げする
- バインディングの前後とアングル(角度)を調整する
- スタンスを変える、セットバックを入れる
- ヒールカップが高いモデルを選ぶ
- リアエントリービンディングを選ぶ
- サイズダウンせずに軽量な板を選ぶ
紹介すると長くなるので、別記事にしました。
足のサイズが大きい方は、合わせて参照ください。
→スノーボード板のワイド(横幅)からブーツがはみ出ても良いの?ドラグの疑問にお答えします!
初心者でもできる!ビンディング本体の調整方法

スノーボードの設置箇所だけでなく、ビンディングのセッティングにもこだわってみましょう。
■ビンディングの調整箇所
- ストラップ
- ガスペダル
- フォワードリーン
- ローテーション
- ベースプレート
以下の記事では各部分の調整する意味や方法をまとめているので、セッティングしてみましょう。
自分に合ったセッティングをすることで、劇的に滑りやすくなりますよ!
→初心者でもできる!スノーボードのセッティング・調整方法教えます
業界のプロ達に聞いた!グラトリ・カービングにおすすめのビンディング

筆者にはショップ店長やプロライダー、イントラの友人・知人がたくさんおります。
以下の記事では、そんなプロ達の情報やアンケートを元に、グラトリやカービングにおすすめのビンディングを特集してます。
気になる方は、以下の記事も参照ください。
→元スノボイントラが厳選!カービングガチ勢におすすめのビンディング10選
→グラトリにおすすめのビンディング→329人に聞いたらフラックス、バートン、ユニオンでした
まとめ
最適なビンディング角度はyoutubeなどを参考に好きなライダーさんのアングルを真似てみるとよいでしょう。
スタンス幅の目安は身長✕0.32で求めることができます。
例)170cm×0.32=54.4cm(最適なスタンス)
あとは実際に乗ってから、微調整してみてください。
「角度(アングル)」や「スタンス幅」なんて聞くと難しそうなイメージですが、とても簡単に設定できちゃいます。
ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。
一気に乗りやすくなりますよ!