スノーボードバインディングの付け方・外し方とセンターリングの調整方法

こんにちは、元スノーボードインストラクターの、らくスノです。

「バインディングの取り付けって難しそう…」そう思っている方も多いのではないでしょうか。

でも、付け外しできないと上達の妨げや板の変形、サビの原因になることも…

ご安心ください、実はとっても簡単なんですよ!

今回はバインディングの付け方を日本一分かりやすく解説したいと思います。

この記事を最後まで読めば、初心者の方でも簡単にバインディングの取り付けができるようになります。

目次

取り付け時間はどのくらい?→慣れれば5分で終わるよ!

取り付け自体は、慣れれは5分で終わります。まぁネジを8本締めるだけですからね。

むしろ取り付け角度やスタンス幅(足の開き具合)を決めるほうが時間がかかります。まぁそういったセッティングもスノーボードの楽しいところなんですが(笑)

とはいえ、最初はプラス方向マイナス方向が分からなかったり、ディスクの縦軸と横軸で迷ったりすると思います。

ご安心ください!次項からはつまずきやすい部分も写真付きで丁寧に解説させていただきます。

バインディングの付け方3ステップ!道具はプラスドライバーだけ

バインディングの付け方3ステップ

用意する道具はプラスドライバーだけ。

取り付ける手順は以下のとおりです。

  1. 取り付ける位置を決める
  2. 取り付け角度(アングル)を決める
  3. 取り付けとセンターリングの調整

専門用語には補足を付けてますのでご安心ください!

次項から順番に説明していきます。

①取り付ける位置を決める

ビンディングを取り付けるネジ穴の位置

まずは取り付けるネジ穴の位置を決めます。

でも、いきなり位置を決めると言われても、どこに取り付ければいいか分かりませんよね。

安心してください、だいたいの板には推奨の取り付け位置がプリントされています。(写真参照)とりあえず何も分からないという方は、推奨の位置に取り付ければ問題ありません。

もしプリントされていない場合は、真ん中に取付ればOKです。

スタンス幅早見表作りました

身長スタンス幅の基準値
160cm未満48cm
160cm〜50cm
165cm〜52cm
170cm〜54cm
175cm以上56cm

「いやいや、ちゃんと自分に合った位置にセットしたい!」

よく「スタンスは肩幅を基準に!」なんて言われますが、計測位置で誤差が出やすいですし、一人だと測ることができませんよね。

ご安心ください、わざわざ肩幅を測らなくても上記の表を目安にすればOKです。上の表は日本のプロライダーやイントラさんの平均値から算出してます。

スタンス幅はビンディングのディスクの中心が計測の起点になります。両足のディスク間の長さが54cmだった場合スタンス幅も54cmということになります。

足幅の計測方法については以下の記事で詳しく解説してますので、しっかりセッティングしたい方は合わせて参照ください。

スノボ初心者でも簡単!バインディングのスタンス幅と角度の決め方

②ベースプレートを開き、取り付け角度(アングル)を決める

向かって左側がマイナス方向、右側がプラス 方向です。バートンのESTというバイン以外は、3度づつの調整となります

ベースプレート(足置き)を開き、取り付ける角度(アングル)を決めます。

向かって左側がマイナス方向、右側がプラス方向です。

バートンのESTというバインディング以外は、3度づつの調整となります。

取り付け角度→初心者はレギュラースタンス(正面向き)がおすすめ

スノーボードのスタイル別おすすめの角度
左足右足
初心者18~30度9~24度
グラトリ・パーク9~18度0~ー15度
カービング・ラントリ24~36度9~27度
オールラウンド(フリーライド)18~24度3~ー6度
パウダーラン15~36度6~ー6度

※上記の角度(アングル)はレギュラースタンス(左足前)の方を想定してます。グーフィースタンス(右足前)の方は逆で考えてください。

取り付け角度は上記の推奨スタンスを参照してください。

後足をマイナス方向に振る意味→フェイキーで滑りやすくなる

角度には正面を向いたレギュラースタンスと足を八の字に開いたダックスタンスがあります。

そして、普通にターンするだけだったらレギュラースタンスのほうが圧倒的に滑りやすいのです。

  • そもそも人間は正面を向くことに慣れているので、レギュラースタンスのほうが違和感がない
  • 出尻ターンになりにくい(姿勢が安定する)
  • 前後へ荷重しやすいので、コブや荒れたバーンに強い

では、なぜあえて滑りにくいダッグスタンスでセッティングする人がいるのか?それは、ダッグスタンスのほうが、様々な姿勢にたいして柔軟に対応できるからです。

たとえばグラトリやパークでは、頻繁に前後が入れ替わったり、身体を捻って重心を乗せ替えたりします。

正面だけの滑りに特化したレギュラースタンスは、そういった不規則な動きに対して弱いのです。

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参照ください。

スノボ初心者でも簡単!バインディングのスタンス幅と角度の決め方

センターディスクは縦向き、横向きどちらでもOK

センターディスクは縦向き、横向きどちらでもOK!

バインディングのセンターディスク(真ん中の円の部品)をよーく見ると、縦軸と横軸にそれぞれ矢印があります。

どっちに向けるのが正しいのでしょうか?

実はどちらも正しいのです。

縦軸と横軸、両方取り付けることができる理由は、バインディングの位置を微調整するためです。

縦にセンターディスクを配置すれば縦軸に、横に配置すれば横軸の微調整が可能です。

よくわからないという方は、とりあえず縦軸にすればOK!

※ビンディングのセンターリングについては後述します。

③取り付けとセンターリングの調整

とりあえずネジはすべて真ん中の穴に入れてみましょう。ネジは対角線上に締め上げていくと緩みなく設置することができます

板の取り付け位置と角度が決まったら、実際に設置してセンターリングを調整してみましょう。

ブーツが板の中心に来るようにセットすることをセンターリングといいます。

ディスクにネジを入れる穴がいくつかあると思います。とりあえずすべて真ん中のネジ穴に通してください。

ネジは対角の順に締め上げていくと(左上を締め上げたら、次に右下を締め上げる順番)、緩みなく設置することができます。

ネジをあまり強く締め上げると外れなくなったり、変形の原因になります。

過度に締め上げる必要はありません、軽く左右に揺らしてグラつかなければOK。

ブーツが板の中心に設置されていればセンターリングはOK!

ビンディングにブーツをセット。横からみたときにブーツが板の中心にセットされていればOK!

バインディングにブーツをセットして、横から見た時にブーツが板の中心に乗っていればセンターリングはOK!

この時注意したいのが、バインディングではなく、ブーツが板の中心になるよう調整することです。

ブーツが前に出すぎている場合

ブーツがつま先側に出すぎている場合は上のネジ穴に入れると、ビンディングの設置位置がかかと側に移動する。

設置した時ブーツが前に出すぎている場合は、ネジを上のビス穴にいれます。

ブーツが後ろに出過ぎている場合

ブーツがかかと側に出すぎている場合は下のネジ穴に入れると、ビンディングの設置位置がつま先側に移動する。

ブーツが後ろに出過ぎている場合は、ネジを下のビス穴にいれます。

ちなみにブーツのつま先やかかとは、多少板からはみ出していても滑走に影響ありません。

むしろはみ出すものですから安心して下さい。

左右のバインディングの見分け方はラチェット(留め具)で判断

バインディングの左右はラチェット(留め具)で分かります。
写真のようにラチェットが左右それぞれ外側になります。

バインディングの左右はラチェット(留め具)で分かります。写真のように、ラチェット(留め具)が左右それぞれ外側になります。

ビンディング裏にも左右表記がある

また、バインディングの裏などに表記がありますので、不安な方はそちらも参照ください。

ディレクショナルボードは前後に注意

ディレクショナルボードとツインボードの違い

ディレクショナルボードとは、ビス穴からの長さがノーズ(前)とテール(後)で違う板のこと。

フリースタイル競技でよく使用されるツインボードは、前後対称なのでどちらが前でも構いません。

しかし、ディレクショナルボード(ディレクショナルツインも含む)は前後が非対称です。

一番外側のビス穴から板の先端までが長いほうがノーズ(先頭)ですので、取り付ける際は注意しましょう。

自分の板がディレクショナルボードかどうか分からない場合は、メジャーで前後の長さを測ってみてください。

【補足】中上級者向けセンターリングの調整

ブーツの中心は足の中心ではない

前項まではブーツの中心と板の中心が合っていればOKとお話しました。でも、厳密にはブーツの中心がセンターリングではないんですね。

なぜなら、人間の足は母指球・小指球・かかとの3点を結んだ点が中心となるからです。足を基準とすると、ブーツのセンターはやや下がります

では、なぜ前項ではブーツの中心をセンターとしたかといえば、初級者の方は、ヒール(かかと)が踏みやすくなるからです。

しかし、ある程度板が倒せる中上級者になると、ブーツ基準のセンターリングは都合が悪い。なぜなら、ヒールの導入が早いのに対して、トー(つま先)の導入が鈍重だからです。

ですから、ある程度ボードが踏める中上級者の方なら、足を基準としたセンターリングをしましょう。

ブーツの裏をトントンと叩き、中心をマスキングテープで留める

ブーツを履いた状態で、指先でソールをトントン叩いてみましょう。足裏の中心に反応を感じたら、そこがセンターです。

とはいえブーツを履いてしまったら、どこが足のセンターだか分からなくなりますよね。

そんな時はブーツを履いた状態で、指先でソールをトントン叩いてみましょう。足裏の中心に反応を感じたら、そこがセンターです。

マスキングテープを貼ってセンターリングします。

足なりのセンターリングを行うと、ヒールよりトーサイドにブーツが大きくはみ出るはずです。

このセッティングの注意点はドラグです。トーサイドがはみ出しすぎていると、足先が雪面に接触するリスクがあります。

ドラグの防止方法については以下の記事で解説してますので、合わせて参照ください。

スノーボード板のワイド(横幅)からブーツがはみ出ても良いの?ドラグの疑問にお答えします!

滑走中のネジの緩みが気になる方はスノーボード用ボルトがおすすめ

滑走中ネジの緩みが気になる方も多いと思います。

でも、あまり強く締めすぎるとソール面が変形したり、外れなくなることも…

そんな方におすすめなのが、スノーボード用ネジ。

ネジが戻らない構造なので、どれだけ滑っても締め直しが必要ありません。

ちなみに筆者も10年以上愛用しています。

なお国産ボードと海外産ボードではビスのサイズが異なります。

国産は15mm、海外産は16mmが多いですが、念のため購入前に今のビンディングのビスの長さを測って置くことをおすすめします。

バートンは規格が異なるので、他ブランドと互換性がない場合がある

実は世界最大のスノーボードブランドであるバートンは、Channelという独自のジョイント規格を採用してます。

現行モデルなら他ブランドでも取り付け可能なことが多いですが、中古・型落ち品は設置できない場合もあります。

バートンのビンディング、またはボードの互換性が気になる方は、以下の記事も参照ください。

バートンの板に他社ビンディングは設置できる?他ブランドの板とバートンビンディングの互換性は?

ビンディング本体の調整方法

バインディングは5箇所セッティングすればOK

今回は設置方法について解説してきましたが、実はビンディング本体もいろいろ調整ができます。

たとえば初めて運転する車だったら、バックミラーや背もたれを調整しますよね。

スノーボードのバインディングも同じことが言えます。

セッティングが合っていないと、コントロールしづらかったり上達の妨げになることも…

せっかく実力があるのに、セッティングのせいでうまく乗れないのはもったいないですよね。

詳しくは下の記事にまとめてますので、ビンディングの調整も終えておきましょう。

劇的に滑りやすくなる!?誰でもできるスノーボードのセッティング方法教えます

ビンディングの外し方→つけっぱなしはNG

ビンディングをつけっぱなしにしておくリスク

続いてはバインディングの外し方について解説していきます。

まず大前提として、ビンディングは定期的に外してください。なぜならビンディングをつけっぱなしにしておくと、ネジが錆びて外れなくなるからです。

「どうせ外さないから錆びてもOK」という方もいるかもしれませんが、あまりに長期間つけっぱなしにしておくと板が変形してきます。

変形すると滑走への影響はもちろん、中古で販売する時に不利になるのは言うまでもありません。

 本来ならスノボへ行く毎にできるのがベストですが、面倒ならせめてシーズン終わりには外しましょう。

用意する道具はマイナスドライバーだけです。

ベースプレート(足を置くクッション部分)をペラッとめくってください。

あとはネジを外すだけ!板から外したネジは紛失しやすので、バインディングのネジ穴につけたままベースプレートを閉じてください。

スタンスや角度をメモしてビンディングに挟んでおく

角度やセッティングをメモしてビンディングに挟んでおく

次回スノーボードへ行くまでに期間がある場合は、ビンディングのスタンスや角度(アングル)をメモして挟んでおくと再度取り付けるとき便利です。

※サビの原因になるので、濡れている場合はしっかり乾燥させてからケースに入れましょう。

ビンディングが外れない時の対処法

「角度を変えようと思ったら、ビンディングが外れない…」

ビンディングのネジが外れない原因は錆びてしまっている可能性が高いです。

かといって力任せに回し続けると、ネジ山がナメてしまい(平になってしまう)余計外れにくくなります。

そんなときは以下の方法を順番に試してみましょう。

  • ♯3のマイナスドライバーを使う
  • サビ取りスプレー(潤滑油)をネジ穴に散布
  • ショックドライバーを使う
  • 購入したお店、メンテナンスショップに持参

♯3のマイナスドライバーを使う

そもそもビンディングのネジ山とマイナスドライバーのサイズが合ってないと、取り外しづらいです。

スノーボードのビンディングネジは♯3というサイズのマイナスドライバーを使って外しましょう。

サビ取りスプレー(潤滑油)をネジ穴に散布

♯3のマイナスドライバーを使っても外れないときは、サビ取りスプレー(潤滑油)をネジ穴に向けて散布してください。

しばらく放置したあと、ゆっくり左に回してみましょう。

サビ取りスプレーはホームセンターなどで1,000円前後で購入できます。

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ショックドライバーを使う

サビ取りスプレーを使っても外れないときは、ショックドライバーを使います。

ネジ穴にドライバーをセットし、トンカチで叩くと衝撃で外れる仕組みです。

ホームセンターなどで1,500円前後で売ってます。

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購入したお店、メンテナンスショップに持参

ショックドライバーを使えば、ほとんどのネジは外れると思います。

それでも外れないときは購入店やメンテナンスショップに持参するしかありません。

ビンディングの定期的なメンテナンスと点検ポイント

ネジ穴やディスクの溝は乾燥しづらいです。ビンディングを乾かす時はディスクやネジも外しておきましょう。

メンテナンスと言っても、基本は板から外してしっかり乾かすだけです。また、ストラップ部分などネジが緩みやすい箇所は定期的に締め直します。

ビンディングが完全に乾いたら、屋内保管します。よく車内や屋外のガレージ・物置に放置する方がいますが、ビンディングは高温多湿に弱いのでNGです。

寿命と交換時期の目安→10年前後

ビンディングの寿命は10年を目安にしてください。もちろん乱暴な使い方をしなければ10年以上使えます。

しかし、製造物責任(PL)法では、損害賠償請求権は「その 製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過した時」に消滅します。

つまりメーカー側としては「販売から10年以上経った製品は保証できない」ということになります。そりゃプラスチックや接着剤が何十年ももつわけないですからね。

実際中古価格も10年を境にガクンと下がります。だから、買い替えは10年を目安とすると良いでしょう。

おすすめのスノーボードビンディング特集

以下の記事では筆者の友人のイントラやショップ店長から聞いた、おすすめのビンディングブランドやおすすめモデルを紹介してます。

レベル別にピックアップしているので、スノボ初心者の方から上級者の方まで役立つ内容になっています。

ビンディングをお探しの方は、ぜひチェックしてみてください。

ジャンル別!人気スノボビンディング30ブランド一覧

元スノボイントラが厳選!カービングガチ勢におすすめのビンディング10選

グラトリにおすすめのビンディング→329人に聞いたらフラックス、バートン、ユニオンでした

フリーライド・パウダーにおすすめのビンディング9選

まとめ

初心者の友人がスノーボード一式買ったとき、バインディングの設置までお店にお願いしました。

後日その板のセッティングを見た私はびっくりしました。

なぜなら、バインが左右反対に取り付けられていたからです(笑)

自分でセッティングできるようになれば、こういったトラブルも未然に防ぐことができます。

最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れたらあっという間に取り付けできるようになりますよ。

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ABOUTこの記事をかいた人

スノーボード歴22年の自称育メンボーダー。北海道出身の父の影響で小学生からスキーをはじめ、18歳でスノーボードに出会う。学生時代に留年してまで山にこもり大会などにも出場するが、就職を機に趣味となる。現在は娘も幼いためあまり滑りにはいけないが、いつか子どもとスノーボードに行くのが楽しみ。