こんにちは、20年以上スノーボードやっている元イントラの、らくスノです。
一口にフリーライド・パウダー用ビンディングと言っても、
- スノーサーフ系
- 沢・バンクド系
- トリック系
スタイルによりおすすめのモデルは変わります。
「ゲンテンの玉井太朗さんがソフトバインだから…」なんて、ご自身のメインとするスタイルに合わないビンディングを選んでしまうと、雪山で後悔することに…
今回はフリーライド・パウダーのスタイル別おすすめモデルを紹介したいと思います。
この記事を最後まで読めば、ご自身にぴったりのフリーライド・パウダー用ビンディングを知ることができます。
※当コンテンツは独自の評価基準を元におすすめギアをピックアップしてます。評価・選定基準のガイドラインに関してはこちらを参照ください。
目次
パウダー・フリーライド用ビンディングの選び方→スタイルを考える
たとえば「グラトリだったら柔らかめ」「カービングだったら硬め」みたいに、ビンディング選びってスタイルによってある程度セオリーがあるんですよね。
でもパウダー・フリーライドに限っていうと、セオリーってないんです。なぜなら「自由」なんで、あまりにも滑りの選択肢が多いから。
だからこそ、まずは、ご自身の志向するスタイルを考えてみましょう。
■スノーサーフ系
パウダーを中心に、ゲレンデの地形を使ってゆるく攻めるスタイル。スピードレンジは全体的に低め。
■沢・バンクド系
ゲレンデの沢地形やバンクドコース、急斜面をハイスピードでハードに攻めるスタイル。
■トリック系
地形を使ってジャンプしたり、パウダーでグラトリしてみたり…フリーライドの中でもトリックを重視するスタイルです。
ビンディングは3箇所を確認してみよう
さて、ご自身のスタイルが決まったら、続いては3箇所を確認してみましょう。
- ハイバックの硬軟
- バインディング裏の硬軟
- ラチェットの付き方
次項から順番に解説します。
ハイバックの硬軟
■スノーサーフ系
スノーサーフ志向の方は、柔らかいハイバックがおすすめです。バインディングではなく荷重でコントロールできるようになるので、よりサーフィンに近い乗り心地になります。
■沢・バンクド系
沢やバンクドをハイスピードで攻めるなら、高速でも安定感がありコントロールが容易な硬めのハイバックがおすすめです。
■トリック系
ソフトミドルくらいのハイバックを選べば、ひねったり曲げたりといったスタイルが出しやすく、なおかつトリック時の板への反応もある程度確保できます。
バインディング裏の硬軟
フリーライド志向なら、ぜひバインディング裏をチェックしてほしいです。スノボショップでもここチェックする人ほとんどいないので、バイン裏を見てたら「この人知ってるな」と思います(笑)
上の写真はユニオンウルトラとフラックスXFですが、違いが顕著ですよね。
実はウルトラの方はクッションを増やすことで、より可動域が増えて荷重でコントロールできるような仕様になっているんです。
当然板への反応は鈍いですが、サーフライドな乗り心地になるので、パウダーだとクッションが多いほうが絶対に面白いです。乗り系トリックメインの方にもおすすめですね。
逆にフラックスXFはクッションがありません。つまり板への反応やコントロール性能が高いというわけです。バンクドやカービング・回転系トリックなどハイスピードでハードに攻めたい方はクッション無しをおすすめします。
ラチェットの付き方
実はラチェットの付き方でも乗り心地が変わるんですよ。ヒールカップの外側についてるユニオンに対し、フラックスは内側についてます。
外側についていると前後の可動域が増えて、より体重移動がしやすくなります。逆に内側についていると可動域は狭まりますが、板への反応が良くなる。
好みもありますが、スノーサーフ系・乗り系トリックなら可動域が広い外側、逆に沢やバンクドをハイスピードで攻めたり高難度トリックをするなら内側にラチェットがついたものがおすすめです。
次項からはそれぞれのスタイルに合わせた、おすすめのビンディングを提案させていただきます。
フリーライド・パウダーにおすすめのビンディング9選
ブランド/モデル | 定価 | フレックス | レベル |
---|---|---|---|
フラックス/SR※ | 48,400円(税込) | ソフト | 初〜上級者 |
カラコラム/レイバック※ | 86,900円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
SPバインディング/エスラブピュア※ | 69,300円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
サロモン/ディストリクト※ | 46,200円(税込) | ミドルソフト | 中〜上級者 |
ユニオン/ファルコア※ | 60,500円(税込) | ミドル | 中〜上級者 |
ジョーンズ/オリオン | 71,500円(税込) | ミドル | 中〜上級者 |
バートン/ジェネシス※ | 66,000円(税込) | ミドルハード | 上級者 |
ユニオン/ウルトラ※ | 46,200円(税込) | ミドルソフト | 初〜上級者 |
ナウ/セレクトプロ※ | 72,600円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
タイプ別おすすめビンディングは以下のとおりです。
リンクをタップでそれぞれのおすすめに移動します。
→沢・バンクドをハイスピードで滑るボーダーにおすすめのビンディング
次項から順番に解説していきます。
パウダーでは最高の乗り味!スノーサーフにおすすめのビンディング
パウダーゾーンでのスノーサーフスタイルを求めるなら、この項で紹介するビンディングをおすすめします。
サーフライドビンディングの特徴は、できる限り体重移動(荷重)のみで板をコントロールしようというスタイルです。
ソフトフレックスは足の動きが阻害されないので、より地形の変化や雪の浮遊感を味わうことができます。
フラックス/SR
定価 | 48,400円(税込) |
フレックス | ソフト |
スタイル | サーフライド |
レベル | 初〜上級者 |
SRはフラックスが独自開発したサーフライド系ビンディング。「開発にサーファーが関わった」というエピソードも面白いですね。
可動域が超絶広いので、雪面でボトムターンのような動きもできます。
フットベットがコルクなのも面白いですよね。踏み心地が柔らかく、他のビンディングにはない足裏感。
ハイバックはぐにゃぐにゃ。ほぼ荷重でターンするしかない上級者向けのモデルですが、特にサーファーの方はドハマリしちゃうんじゃないかな(笑)
当然ながら柔らかいブーツとの相性が良いので、K2のTTやディーラックス/アースリンなどと合わせてみてはいかがでしょうか。
カラコラム/レイバック
定価 | 86,900円(税込) |
フレックス | ミドル |
スタイル | サーフライド |
レベル | 初〜上級者 |
ゲンテンスティックの創始者である玉井太朗氏や藤田一茂プロなど、一流のBCライダーが愛用するビンディング。
カラコラムといえばスプリットボード用ビンディングとして有名ですが、レイバックはソリッドボード(普通のボード)にも併用できます。
「もう私の説明より映像見て!」って感じでですが(笑)とにかくビッグ・マウンテンとの相性が抜群!
まさに空を飛ぶような感覚を味わうことができます。
コネクターをつければワンタッチで簡単に取り外しできるので、複数枚持ちの方は、「現場のコンディションに合わせてボードを選ぶ」なんて贅沢ができちゃいます。
ただし、圧雪でのもたつき感は否めないので、個人的にはパウダー特化のビンディングとしておすすめですね。
SPバインディング/sLAB.PURE
定価 | 69,300円(税込) |
フレックス | ミドル |
スタイル | サーフライド |
レベル | 初〜上級者 |
SPの大人気モデルsLAB.ONEをベースに、可動域を広げてナチュラルに動けるようにしたのがピュアです。
sLAB.ONEはガチガチなので、サーフライドのような板なりの動きがやりづらかったんですよ。
ピュアなら可動域が広いのでスタイルを出しやすいうえにベースがしっかりしているので、危険回避など急な動きが求められる場面でも素早く反応してくれます。
なによりSPバインディングといえば、リアエントリーによる着脱の早さ。滑走途中の登り返しやトラバースを挟むルートで重宝します。
剛性が高く、ベースプレートが薄いので足裏のフィーリングも抜群。
パウダー特有のノーズ・テール荷重にも柔軟に対応できるので、バックカントリーでも信頼できるビンディングです。
沢・バンクドにおすすめ!高速フリーライド用ビンディング
細かい切り返しが必要な沢地形やバンクドをハイスピードで攻めるボーダーには、こちらのビンディングをおすすめします。
高速時の安定感が抜群で、クイックな動きにはレスポンスよく反応してくれるモデルばかりです。
サロモン/ディストリクト
定価 | 46,200円(税込) |
フレックス | ミドルソフト |
スタイル | ツリーラン・フリーライド |
レベル | 中〜上級者 |
バックカントリーボーダーの誰もが憧れる中井孝治プロ使用モデル。
前述のサーフライド向けビンディングとは違い、ディストリクトはハイスピードでの滑走を得意とします。
縦軸だけでなく横軸も柔軟に動くシャドウフィットは、レスポンスの高さと可動域の広さを両立したサロモン独自のシステム。
足首が自由に動くので、細かい地形の変化にも柔軟に対応できるのがメリットです。どんな地形でも対応できる万能のビンディングといえるでしょう。
ユニオン/ファルコア
定価 | 60,500円(税込) |
フレックス | ミドル |
スタイル | ツリーラン・フリーライド |
レベル | 中〜上級者 |
こちらも伝説のスノーボーダー、トラビス・ライス使用モデル。
もうトラビスはね…パウダーの滑りが無茶苦茶なんですよ(笑)ファーストトラックでこんな攻めた滑りはできません!
でね、攻めた滑りをすればするほど、一瞬の反応が重要になってきます。いつ岩やクレバスが現れるとも限りませんからね。
そんな一瞬の判断をすぐボードに伝えてくれるのが、ファルコアのレスポンス力なんです。3つの支点を結んだカーボンが、安定感、反応、剛性というパフォーマンスを与えてくれます。
アンクルストラップなんてふにゃふにゃで「これ大丈夫か?」なんて思うんですが(笑)乗ってみると骨がしっかりしているので狙った通りの反応が返ってきます。
フィット感も抜群で、ストレスを感じさせない逸品です。
ジョーンズ/オリオン
定価 | 71,500円(税込) |
フレックス | ミドル |
スタイル | ツリーラン・フリーライド |
レベル | 中〜上級者 |
海外では圧倒的な人気を誇るジェレミー・ジョーンズのビンディング。オリオンは一口で二度美味しいビンディング。
ハイバックは上部になるほど柔らかく、ライダーの踏み込み具合でクイックにもスローにもなる。
またアンクルストラップもサーフライド/フリーライドに設定できるので、コンディション次第で調整できる。
たとえば雪が柔らかい時はサーフライドモード、雪が硬い時はフリーライドモードなんて使い分けができるんです。
さらにテコの原理を応用したスケートテックを採用しているので、荷重したときのパワーが強力なんですよね。
圧雪ではカービングもできちゃう万能ビンディングのオリオンを使用してみてはいかがでしょうか。
トリック志向の方におすすめのフリーライドビンディング
「パークには入らないけど地形を使ったトリックは大好き!」なんてボーダーも多いと思います。
そんな方におすすめのフリーライドビンディングを紹介します。
トリックはもちろん、可動域もあるのでパウダーゾーンも楽しめるオールラウンドなモデルばかりです。
バートン/ジェネシス
エスカペイドが女性向けモデルになります。
定価 | 66,000円(税込) |
フレックス | ミドルハード |
スタイル | ゲレンデクルーズ併用 |
レベル | 上級者 |
ゲンテンスティックの玉井太朗氏やフィールドアースの植村能成氏も使用していたことで有名なジェネシス。
とはいえ、普通にグラトラーやパークライダーも使ってたりする万能ビンディングなんです。
ジェネシスの特徴といえば、やはりキックバックハンモックでしょう。弱い力にはスローに、強い力にはクイックに反応してくれるので、トリックはもちろんパウダーゾーンも面白くしてくれます。
Re:Flexを選べば、さらに自由度の高いセッティングが可能です。「トリックもパウダーも楽しみたい」なんて欲張りボーダーにおすすめのビンディングです。
ユニオン/ウルトラ
定価 | 47,300円(税込) |
フレックス | ミドルソフト |
スタイル | ゲレンデクルーズ併用 |
レベル | 初〜上級者 |
22-23シーズンの発売から一躍大人気になった、ユニオンのウルトラを紹介します。
何がすごいかって、パーク系、カービング系、カービング系、グラトリ系…もちろんパウダー系まで、あらゆるスタイルのボーダーに支持されていることなんです。
- ビスまでこだわって軽量化
- ボードのフレックスを損なわないミニディスク
- どんなブーツとも相性がいいストラップ
- 4層構造のハイバックはどんな動きにも軽快に反応
- 洗練されたデザイン
…等々、メーカーがスーパーオールラウンドモデルと謳うのもうなずけますね。ちなみに筆者もグラトリからパウダーまで愛用しているので、性能には太鼓判を押します。
ナウ/セレクトプロ
定価 | 72,600円(税込) |
フレックス | ミドル |
スタイル | ゲレンデクルーズ併用 |
レベル | 初〜上級者 |
ナウといえばスケートテック。テコの原理をビンディングに応用することで、より強いエッジングが可能になりました。
よく「セレクトはカービングのエッジング力が素晴らしい」とかって評価を目にするのですが、個人的にはトリックこそ真価を発揮するのではないかと考えています。
よりトーションが使えるので、回転系トリックの踏み込みがめちゃくちゃやりやすい。
また深雪でもパワー調整がしやすいので、すごくフレキシブルに自分のラインを描くことができますよ。
もちろん圧雪でもお手つきカービングできるくらい強いエッジングができます。「急にうまくなった」と勘違いさせてくれる、そんなビンディングがセレクトです。
リアエントリーバインのメリット・デメリットとおすすめモデル
スノーボードバインディングといえば、リアエントリーがありますよね。
ずばり、リアエントリーがおすすめのボーダーは以下のとおりです。
- ヒトリスト
- オフトレ施設、室内ゲレンデによく行く方
- オープン直後のスキー場で滑る方
- ストラップタイプだと足が痛くなる方
- カービング・ラントリメインで滑る方
リアエントリーのメリット・デメリットは以下の記事で解説してますので、当てはまった方は参考にしてみてください。
→リアエントリーバインディングのメリット・デメリットとおすすめモデル
おすすめのフリーライド・パウダーギア特集記事
以下の記事ではフリーライド・バックカントリーボーダーにおすすめのギアを特集しています。
ビンディング以外のフリーライド・パウダー系ギアをお探しの方は、合わせて参照ください。
→メジャーから玄人向けまで!おすすめのパウダーボード30ブランド
→スノーボードバックカントリー向けスノーシューおすすめモデル7選
→【最新版】バックカントリーにおすすめのスプリットボード9選
まとめ
ブランド/モデル | 定価 | フレックス | レベル |
---|---|---|---|
フラックス/SR※ | 48,400円(税込) | ソフト | 初〜上級者 |
カラコラム/レイバック※ | 86,900円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
SPバインディング/エスラブピュア※ | 69,300円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
サロモン/ディストリクト※ | 46,200円(税込) | ミドルソフト | 中〜上級者 |
ユニオン/ファルコア※ | 60,500円(税込) | ミドル | 中〜上級者 |
ジョーンズ/オリオン | 71,500円(税込) | ミドル | 中〜上級者 |
バートン/ジェネシス※ | 66,000円(税込) | ミドルハード | 上級者 |
ユニオン/ウルトラ※ | 46,200円(税込) | ミドルソフト | 初〜上級者 |
ナウ/セレクトプロ※ | 72,600円(税込) | ミドル | 初〜上級者 |
私自身パウダーボードのビンディング選びで困った経験があったので記事にしてみました。
フリーライド・パウダーを主戦場とするプロでも、ぐにゃぐにゃのバインを使ってたり、ガチガチのバインを使っていたり…これでは一般のボーダーが迷うのも無理はありません。
でも、ご自身が志向するスタイルやルートをイメージすると、とても選びやすいと思います。
ぜひこの記事を参考に、最高のパートナーを見つけていただければと思います。