こんにちは、20年以上スノーボードやっている、らくスノです。
「今シーズンはグラトリ専用ボードを買って、もっと上達したい!」なんて思っている方も多いのではないでしょうか。
でも、具体的にどんなボードを選んでいいか迷いますよね。
それこそ板選びに失敗すると、ワンシーズンが台無しになってしまいます。
ご安心ください!
私はショップやメーカー、ライダーの友人がいます。
今回はそんなプロ達の話を総合し、私の経験も加味したうえで、本当に良いと思ったグラトリボードだけピックアップしました!
この記事を最後まで読めば、きっとあなたにぴったりのグラトリボードに出会えるはずですよ。
目次
おすすめのグラトリボード11モデル紹介します!

今回ご紹介するのは下記の11モデルになります。
- 011アーティスティック/フラットキング
- 011アーティスティック/ダブル
- ライス28/RT7
- ファナティック/FTCツインCBC
- トルクレックス/ユニコーン
- グレイ/トリックスティック
- ヨネックス/アクセ
- アライアン/プリズム
- バタレオン/ディザスター
- K2/WWW
- ライド/キンク
次項から順番に紹介させていただきます。
011アーティスティック/フラットキング

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムソフト
- スタイル:高回転系
もう「この板無しに日本のグラトリシーンは語れない!」というくらい有名な板。
そもそも、なぜ011がグラトリの代名詞になったかご存知ない方も多いと思います。
日本では2000年代初頭からグラトリブームが起きましたが、何を隠そうそのムーブメントの中心にいたのが、011の創始者である相内康夫プロ(通称会長)でした。
相内会長のグラトリキャブ900は今や伝説で(当時は540回すだけですごかった)、現役時代の私はスタイルなど大変影響を受けたのです。
そんな相内会長が、2004年にジブ・グラトリに特化したブランドとして立ち上げたのが、011アーティスティック。

011の中でもフラッグシップモデルと言えるのが、このフラットキング。
なんといっても、一番の特徴はこのキックでしょう。
図のように、通常のキックより鋭角に反り上がっているのがわかりますね。
このキックのおかげで、板をピンポイントに弾き、高さのあるオーリーができるようになります。
面よりも点で弾いた方が、よりパワーが集約されますからね。
私も実際に乗りましたが、オーリー時に反発が良すぎてのけぞってしまいました(笑)

また雪面に引っかかりにくいようエッジをビべリングしているので、回転数が足りず「うわ、逆エッジ」なんて思ったら持ち直せたなんてこともありました。
それでいて、アイスバーンでもしっかり雪を噛んでくれるので、どんなコンディションでも安定してグラトリができます。

さらにカーボンより優れた高反発、振動軽減性能を持つPEファイバー繊維補強材を使用することで、まさに完全体という感じですが…正直乗り手は選びます。
点で弾くということはオーリーのポイントが超シビアなので、ある程度練習が必要です。
初級者の方が乗っても、ほとんど板の性能を発揮できないでしょう。
けっして安いボードではないですし、ゲレンデでは「フラキン乗ってるけど、実力はどうなの?」なんて余計な注目を浴びてしまいます。
モチベーションが高くないと乗りこなせない、そんな板ですね。
011アーティスティック/ダブル

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ソフト
- スタイル:プレス系
同じく011からダブルのご紹介です。
こちらも、前項のフラットキングと双璧を成す、011を代表する板となっています。
フラットキングとの一番の違いはフレックス(板の柔らかさ)です。
通常柔らかい板は、オーリーの反応も弱かったりするのですが…
ダブルはただ柔らかいだけでなく、オーリーで弾く部分は張りが強く、プレスでしならせたい部分は柔軟に曲るように作られています。
ですので、クイックなオーリーには強く反発し、スローなプレスは簡単に曲がってくれる優れたボードといえるでしょう。

こちらの板はフラットキングと同じくコンベックスが設定されているので、回転不足の逆エッジを防ぐことができます。
またソネ系の技なんかは最初ノーリーするときに勇気がいると思いますが(ヒールエッジ返す時の逆エッジが怖い)、引っ掛かりがないので意外とすんなりできちゃうのがこの板なんです。
最近はスタイルが出せるリバースとかシャッフル、低回転トリックが人気ですよね。
あえて720や540ではなく、ダブルでスタイル出しまくりのグラトリを目指すのもかっこいいと思いますよ。
フラットキングは乗り手を選びますが、ダブルは初級者の方にもおすすめできる1枚です。
ライス28/RT7

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアム
- スタイル:ラントリ系
011アーティスティックと並ぶグラトリボードの有名ブランド、ライス28のRT7です。
ライダーさんの滑りを見れば、誰しもやばいと思うはず。
ライス28のフラッグシップモデル、RT7はミドルフレックスで540以上の高回転を目指す方(または回せる方)におすすめです。
以前は最上位クラスのRT9だけに搭載されていたマイクログラファイトベースという贅沢なソール(レース競技の板でよく使われている)ですが、ついにRT7にも導入されました。
試乗した感想としてはとにかく板が良く走る!
また、ツインのキャンバーシェイプがしっかり雪面を噛んでくれるので、リバースターンも楽々できちゃう。
私の得意技オーリー720も楽々回せるし、狙った回転数でしっかり止まってくれます。
こちらも011のフラットキング同様乗り手を選びますが(ソールの手入れも大変だし)、私が自信をもってお勧めする1枚です。
ファナティック/FTCツインCBC

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムハード
- スタイル:ラントリ、高回転系
前項の3モデルよりは知名度は落ちますが、私の超おすすめモデル、ファナティックのFTCツインCBCをご紹介したいと思います。
ファナティックの特徴は、何といっても圧倒的な軽さ!
計量するまでもなく、持ってみると他のメーカーとの重さの違いがはっきり分かります。
※ちょっと古い映像ですが、軽さは伝わると思います。
前述の011やライス28は確かに名機ですが、他のメーカーと比べてもけっして軽いわけではないんですよ。
「軽けりゃいい」ってわけでもないですが、重量があるってことは筋力がないと取り回しが難しい…
だから、フラットキングやRT7は乗り手を選ぶのです。

ファナティックの特徴の一つである蜂の巣のようなハニカム構造は、余計な部分を肉抜きしつつ剛性は保ったままという優れた機能を有しています。
なんと、この肉抜きによってコアウェイトの重量を45%も軽減したんだとか!
こニカム構造よって、スイングウェイトが軽減されスピンしやすい。
さらに、しっかり剛性を保っているので、バタつかず高速でも安定した走行が可能です。
切り返しのクイックなレイト系・シャッフル系の技を極めたい方とか、「高回転目指したいけど脚力に自信がない」なんて方にぜひともお勧めしたいボードです。
【補足】
ファナティック傘下の新しいブランド、FNTCが18-19シーズンより始動しました。
FTCツインと同じハニカム構造を持つFNTCのSOTは、日本の雪山シーンを意識して開発したグラトリ特化型ボード。
残念ながら試乗してないので補足にしましたが、私の周りでもめちゃめちゃ評判が良いので紹介させてもらいます。
FTCツインが気になった方は、合わせてSOTも検討してみてはいかがでしょうか。
トルクレックス/ユニコーン

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムソフト
- スタイル:高回転系
こちらもグラトリメーカーとして名高いトルクレックスでございます。

トルクレックスの特徴といえば、何といっても特許を取得しているガラス心材ですね。
トランポリンのスプリングなんかを想像すると分かりやすいと思いますが、この心材を使用することによって反発力が増大するんです。
また、高速時の板のバタつきを抑える効果もあります。
実際乗ってみると、オーリーで後ろ足に荷重するまでは他のボードと変わらないのですが、次の瞬間信じられないくらい反発が返ってきます。
自分のオーリーにビビッて、思わず後傾に着地してしまい図らずもプレスになってました(笑)


また、011やライスと同じビべリングやコンベックスを施しているので、逆エッジになりにくい。
それでいて、キレッキレのカービングもできちゃいます。
私がお勧めするユニコーンは安定のミドルフレックスキャンバーボード。
私は昔ながらのキャンバー至上主義者なので、スピードの乗った高さのあるグラトリをするなら必須だと思っています。
もう、このライダーさんのキレッキレのグラトリを見たら、この板のポテンシャルも一発でご理解いただけると思います。
自分の実力をワンランク上げてくれる、まさにそんなボードですね。
グレイ/トリックスティック

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムソフト
- スタイル:万能型
昨シーズン乗ってめちゃくちゃ調子良かったので、グレイのトリックスティックを紹介させていただきます。
そもそもグレイは、グラトリというよりもテクニカル・アルペンボードとして評価が高いブランドでした。
ですので、乗る前は「グレイのグラトリボード…?」みたいなノリだったんですが(笑)
やっぱり、こういう愚直なメーカーが本気で遊びボード作ったら怖いです。
なにしろ、開発者自身が「本気でグラトリボード作りました!」って宣言してましたからね。

出典:グレイホームページ
ミドルフレックスで、アクティブキャンバー(可変キャンバー)のツインという形状。
011の項でお話したとおり、通常のキャンバーって点で弾かなきゃいけないので、グラトリ初級者には難しいんですよ。
その点、トリックスティックはセンターのRがしなったとき足下の直線部分が面で接するので、ミディアムフレックスなのにオーリー・ノーリーが簡単にできます。
しかも、オーリー・ノーリーが簡単なのに高さも出せる。

出典:グレイホームページ
カーボンとスーパーライトコアを使用しており、抜群の軽さを誇ります。
なにより、アルペン・テクニカルに定評があるブランドなので、カービングやリバースターンもばっちり!
本来、このレベルの板は中上級者におすすめすべきものなんですが、グラトリ初級者の方にこそぜひ乗って欲しいと思います。
ヨネックス/アクセ

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムソフト
- スタイル:万能型
オールカーボンボードとして有名なヨネックス、いつのまにかグラトリに特化したボードを作ってました。
いえ、もともとグラトリの板としては定評のあるブランドだったんですよ。
しかし、それはあくまでスムースとかネクステージとか、パークモデルをグラトリ用として流用していただけ。
それはそれですごく評判が良かったんですよ。
なにしろ前述のライス28のプロライダーがアマチュア時代使っていたくらいですから。
きっと、その評判をメーカー側でもリサーチしていたんでしょうね.
ついにグラトリ特化モデルを発表するに至りました。

出典:ヨネックスホームページ
ドイツ語で軸という意味があるアクセの特徴は、カーボンリボン。
チップ部分にX字に配置されたカーボンが、よりクイックに乗り手の動きに反応し、パワーロスなく反発を得ることを可能にしました。
グラトリはチップ部分のトーション・フレックスがすごく大事。
特に最近流行りのシャッフル系やソネ系、私の得意なコンパス系の技は、チップ部分がクイックに反応してくれるととてもやりやすい。
また、センターのフレックスをソフトにすることでオーリーしやすく、脚力が弱い方でも高く飛ぶことができるようになっています。
そして、私が今さら言うまでもなくヨネックスはオールカーボンボード。
カーボンボードは軽くて反応・反発が良いため、グラトリボーダーも愛用者が多いですね。
ヨネックスの板にはさんざんお世話になった私が、自信を持っておすすめできる1枚となっております。
アライアン/プリズム

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアム
- スタイル:高回転系
アメリカのブランド、アライアンからはプリズムのご紹介です。
アライアンの看板モデルであるプリズムは、昔ながらのミドルフレックス、6mmハイキャンバーシェイプとなっています。
私がスノーボードを始めた時代は、ボードなんてすべてこのシェイプだったので、乗るのがめちゃめちゃ難しかったんですよ(笑)
でも、高速でのグラトリや540以上の高回転スピンはこのシェイプで間違いないですね。
でも、プリズムのような無骨でオールドスクールな形状は、最近流行らないんですよね。
なぜならハイキャンバーはコントロールが圧倒的に難しいので、ゲレンデで多数を占める初心者・初級者の方は、やっぱり乗りやすいフラットやハイブリッドシェイプ買いますから。
そうなるとメーカーだって、ハイキャンバーよりももっと売れるローキャンバーやハイブリッドシェイプのボードに力入れます。
だからこそ!
だからこそのプリズムなんです!

出典:アライアンホームページ
プリズムの一番の特徴としては、このXに配置されたカーボン。
このカーボンによって、オーリー時の反応がよくなります…
なんて謳い文句は、どこのメーカーだってやっているのです(笑)

出典:アライアンホームページ
さらにすごいのは、このコア上に配置されたV字のカーボンです。
これはトーションを意識して配置しているので、ヒールからトゥーへの切り返しがめちゃめちゃスムーズ!
グラトリは高回転の踏切になるとかなりエッジ立てるので、トーションの反応が重要になってきます。
プリズムはそんな要望にもクイックに答えてくれます。
バッジテストでも使う人がいるくらい、カービングもばっちり!
私が試乗したときは、前述のV字カーボン効果もあり、とてもスムーズに角付けすることができました。
高回転スピンや高速でのグラトリを得意とするボードですね。
バタレオン/ディザスター

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ソフト
- スタイル:プレス系
前項まではガチモデルばかりだったので、ここからは初心者の方にも乗りやすいボードを紹介します。
まずはバタレオンのディザスターです。


出典:バタレオンホームページ
バタレオンの特徴と言えば、なんといっても3Dシェイプでしょう。
板のノーズ・テールがスプーンの様な形状をしているので、逆エッジしづらいんです。
しかもキャンバー構造なので、オーリーの反発がしっかり返ってくる。
バタレオンの中でも、このディザスターというモデルは柔らかいので、グラトリ初・中級者の方にもぴったりです。

出典:バタレオンホームページ
個人的にバタレオンの一番良いところは、エッジの切り替えがスムーズにできるので、切り返しが多いグラトリの技では最強のレスポンスを発揮してくれることだと思います。
最近のティーザーだったりYouTube動画見ていると、比較的滞空時間が確保できる540をレイトやタップ、シャッフルで回すっていうのが主流になってます。
そうなってくると、板選びは反発よりも切り返しや取り回しの良さが重要になってくるのです。
バタレオンの3Dシェイプは、まさにそういった要望を満たしてくれるボード。

出典:バタレオンホームページ
良いことばかり書きましたが、前述のモデルと比べるとやはりエッジの食いつきは弱いですね。
スピードを出した時に少しバタつくので、カービングやスピンの高回転は不向きかなと思います。
まぁそれでも一般のボードよりは100倍おすすめ、グラトリが一気に楽しくなります!
上記は少し古い2018-19の動画ですが、ディザスターの面白さは伝わると思います。
初・中級者の方は要チェックですね!
K2/WWW

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ソフト
- スタイル:プレス系
続いては、K2の生んだ名機WWWのご紹介です。
そもそもWWWは歴史の長いモデルで、10年以上にわたりグラトリ・ジブ板の代名詞として君臨しています。
今でこそ様々なグラトリ専用ボードが販売してますが、当時はグラトリ用の柔らかい板ってそんなに選択肢がなくて、WWWは圧倒的に支持されてました。

確か、最初はロッカーボードで途中からフラットになったと記憶してますが、最新モデルはハイブリッドキャンバーになりましたね。
そんなwwwの素晴らしい点と言えば、やはり圧倒的なコストパフォーマンス!
インターネットなら型落ちで2万円台~購入できます。
011なんて型落ちでも8万円台なんですよ!
この価格帯のクラスでは間違いなくナンバーワンのグラトリボードです。
正直カーボンバー無いですし(カーボンが入っているとより反発が得られる)、ソフトフレックスなので安定感は微妙かもしれません。
しかし、それはあくまで上級者目線で見るからであって、それこそ今シーズンからグラトリ始めようと思っている方には、圧倒的に扱いやすいボードとなっています。
オーリーも反応が良いので普通に540回せました。
ちょっと口は悪いかもですが、どうせ安いしボロボロになるまで使い倒しましょう!
その頃にはきっと、超絶レベルアップしているはず。
ライド/キンク

- 形状:キャンバー、ツイン
- フレックス:ミディアムソフト
- スタイル:回転系
最後にご紹介する板は、ライドの中でも長い歴史を持つ有名モデルKINKです。

出典:ライドホームページ
KINKの特徴は、このクラスでは珍しいハイブリッドキャンバーシェイプでしょう。
面でとらえることができるフラットやハイブリッドボードは、オーリーがピンポイントでなくてもごまかせるというか、ある程度跳んでくれます。
対してキャンバーシェイプは、しっかり点で捉えないと高さが出ません。
少しでもチップやセンター寄りに加重しちゃうと反発がまったく得られないんですね。
KINKは同クラスのボードと比べるとオーリーの踏切が難しいので、生半可な気持ちで購入すると痛い目をみます。
でも、上級者を目指すなら、キャンバーボードは避けて通れません。
周りの同じレベルの友達よりひとつ抜きん出たいとか、向上心を持ってグラトリに取り組むならKINKはベストな選択ではないでしょうか。

出典:ライドホームページ
さらに細かい点を上げると、サイドウォールがスライムウォールという、スケートボードのウィール素材(ウレタン)を使用しているので、高速時や荒れたバーンでの板のバタつきをおさえてくれます。
また、チップ部分が薄くシェイプされているので、スイングウェイトが軽くスピンしやすい。
この辺の機能は、現在ライドの板をメインで使っている私が太鼓判を押します!
とにかく向上心のあるグラトリ初心者ボーダーさんにおすすめの1枚です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本当に情熱を込めて書いたので、気がついたら8,000文字になってました(笑)
今の実力からワンランク上にレベルアップさせてくれる板ばっかりですので、ぜひご自身のスタイルやスキルに合わせてお選びいただければと思います。
グラトリギア関連では、下記の記事も参照いただければと思います。
この記事が参考になれば幸いです。
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