こんにちは、20年以上スノーボードやっている元イントラの、らくスノです。
バックカントリースノーボードといえば「ノートラックのパウダースノーを優雅にライディング」なんて想像をされる方も多いと思います。
しかし、実際は9割がハイクアップ、滑走なんて一瞬で終了です。
だからこそ、本当はボードやビンディングではなく、ブーツを最優先に考えなければいけません。
この記事では、ゲレンデ用ブーツとバックカントリー用ブーツの違いや、おすすめのモデルについてお話したいと思います。
この記事を最後まで読めば、ライディングはもちろん快適にハイクアップできるようになりますよ!
※今回の記事はスノーシューでアプローチできるルートを想定してます。
目次
ゲレンデ用ブーツとバックカントリー用ブーツの違い
そもそも「ゲレンデ用ブーツじゃダメなの?」なんて疑問がありますよね。
もちろんゲレンデ用ブーツがダメということはありませんが、歩行距離が長ければ長いほど疲労や関節痛、靴擦れのリスクが高まります。
では、ゲレンデ用ブーツとバックカントリー用ブーツは何が違うのでしょうか。
■ゲレンデ用ブーツとバックカントリー用ブーツの違い
- 歩きやすい
- 防水・保温性が高い
- 自然に立っていられる
- 雪面で滑りづらい
- 耐久性が高い
次項から詳しく説明していきます。
歩きやすい
出典:ディーラックス
冒頭でお話したとおり、バックカントリーの9割はハイクです。
しかし、ゲレンデ用ブーツは滑走に主眼が置かれているため、歩行には不向きな作りをしています。
実際、読者のみなさんも「スノーボードブーツは歩きづらい」と感じますよね。
その点バックカントリー用ブーツはカフ(足首)やふくらはぎが柔らかいフレックスで歩きやすい。
また足首を曲げたときの反発が強いので、ぐんぐん前に進む感覚を体感できます。
防水・保温性が高い
出典:K2
モデルによっては水が染み込みやすいシューレス部分にシェルカバーを配置して、防水・保温性を高めています。
また蒸れやすいインナーブーツに通気性の高い素材を使用するなど、より快適にハイクできるよう設計されています。
自然に立っていられる
出典:ディーラックス
「自然に立っていられる?」と思うかもしれませんが、画像を見れば一目瞭然。
ブーツの角度が違うんですよ。
オールラウンドブーツは滑走に重点が置かれているので、ひざが入れやすいよう最初からブーツに角度がついています。
対してバックカントリー用ブーツは歩行に重点が置かれているので、ブーツにほとんど角度が入っていません。
雪面で滑りづらい
出典:ディーラックス
モデルによってはグリップ力と剛性の高いビブラムソールを使用しており、雪面で滑りにくくなっています。
またソールの凹凸も、スニーカーのようなオールラウンドブーツに比べ、登山ブーツみたいにがっしりしてますね。
耐久性が高い
出典:ディーラックス
ハイク目的で作られていないスノーボードブーツは、足首やかかと部分の強度が十分ではないため、損耗も早いです。
その点バックカントリー用ブーツはハイクで負荷のかかる部分を補強しているので、長く使い続けることができます。
スタイル別バックカントリーにおすすめのスノーボードブーツ9選
バックカントリーにおすすめのブーツは以下のとおりです。
- K2/TT
- ディーラックス/アースリン
- バートン/ツーリスト
- ディーラックス/フォーマティブ
- ディーラックス/エクスプローラー
- バートン/ドライバーX
- K2/ウェイブ
- サロモン/シナジー
- フラックス/TX
ただモデルを羅列しても分かりづらいので、カテゴリー別に紹介させていただきます。
サーフライドにおすすめのブーツ
サーフライドのようなゆったりとしたスタイルがお好みの方は、この項で紹介するモデルがおすすめです。
ビンディングではなく、足裏で操作しているような感覚を味わうことができます。
沢地形やバンクドスラロームでサーフライクな足裏感覚を体感したいならぜひチェックしてみてください。
K2/TT
日本でもっとも有名なバックカントリーブーツ。
ゲンテンスティック創始者、玉井太朗氏のイニシャルを冠したTTは、サーフライドに特化したブーツに仕上がっています。
数あるバックカントリーブーツの中でも、もっとも柔らかいフレックス。
ブーツが足の動きに過度に干渉しないので、足裏でボードをコントロールしている感覚が気持ちいい。
エンジニアブーツのような見た目は本皮を使用しているから。
定期的に油でメンテナンスすればより自分の足に馴染み、長く使い続けることができます。
ディーラックス/アースリン
國母カズやテリエなど世界的なライダーも使用する大人気ブーツ、アースリン。
一番の特徴が、シューレス、BOA、パワーベルトでの締め分けができることです。
シューレスで全体を締め上げ、BOAで足首、パワーベルトでタンを調整する。
たとえばハイクのときは緩めて、滑走時は締め上げるといった調整も楽にできます。
また柔らかいうえにソールが薄いので、足裏感覚が抜群。
パウダーの浮力を全身で感じたい方にピッタリのバックカントリーブーツと言えるでしょう。
ツリーランにおすすめのブーツ
続いてはツリーランにおすすめのブーツを紹介したいと思います。
細かいターンが要求されるツリーランでは、軽快でレスポンスが良いブーツが重宝します。
ご自身のメインとするエリアの地形を想像しながらチェックしてみてください。
バートン/ツーリスト
出典:バートン
バートンのツーリストは、その名の通り気軽にバックカントリーが楽しめるブーツです。
ツーリストの一番の特徴はリバースフレックス。
雪面を蹴り上げたときにブーツのフレックスがバネのように返ってくるので、とても軽快にハイクできます。
ブーツ自体の反応もよく、突然現れた障害物にも素早く反応、回避することができます。
Spark R&Dのライダーと共同開発したモデルなので、スプリットボードとの相性も抜群です。
ディーラックス/フォーマティブ
ディーラックスのフォーマティブは、ブルームという海藻から作られたサステナブルで軽量なブーツ。
「リバースフレックスだ」「アンクルの柔らかさだ」じゃないんです。
「物理的に軽いほうが足への負担が減るでしょ?」というシンプルな考えを元に作られています。
構造自体はアースリンに近いですが、フォーマティブのほうが少し硬い。
ブーツの背面部分にプレートが入っているので、高い反応・精度が要求されるツリーランにおいても抜群のレスポンスを披露してくれます。
オープンバーンにおすすめのブーツ
オープンバーンをハイスピードで滑る、フリーライドスタイルにおすすめのブーツを紹介します。
バックカントリーといえば、誰しも大斜面に弧を描く光景を思い浮かべますよね。
そんなボーダーの夢を叶えてくれるブーツばかりを集めました。
ディーラックス/エクスプローラー
出典:ディーラックス
エクスプローラーはアースリンと同じシューレス、BOA、パワーベルトのマルチレーシングながら、よりハイクを意識したモデルになってます。
当然ながら森林限界点を抜けないと、ノートラックのオープンバーンには行けないですからね。
サーフライドやツリーランモデルより、さらに高い踏破性が求められるわけです。
ソールは完全に登山靴。ワンタッチアイゼンも装着可能です。
フレックスは硬めなので、高いスピードレンジにおいても安定したライディングができます。
よりレベルの高い雪山を目指すなら、ぜひお供にしたい逸品ですね。
バートン/ドライバーX
出典:バートン
今回紹介するブーツの中で、もっとも硬いフレックスがドライバーXです。
「今流行りのサーフライドブーツ…イマイチ馴染めないんです」
その気持ちよくわかります。私もどちらかといえば硬いブーツが好みですから。
ドライバーXはそんなハードフレックス好きバックカントリープレイヤーの要求を満たしてくれます。
高速域の安定感、クイックな反応。落ち込みでジャンプもいいですね。
トップシーズンはもちろん、春先の荒れたバーンでも信頼できるブーツです。
K2/ウェイブ
出典:K2
どうしても大人気モデルTTの影に隠れがちですが、実はウェイブも名機なんですよ。
TTとの一番の違いはハードフレックスだということですね。だから「TT狙ってたけど柔らかすぎる」なんてボーダーにぴったり。
またシューレス、ボア、パワーベルトのマルチレーシングを採用。
「ウォークモード」にセッティングすれば、ハードブーツなのに快適にハイクできるようになります。
防水保温性も高いので、1日中ハイクしても疲労知らず。
ゲレンデクルーズにも併用できるおすすめブーツ
ゲレンデクルーズにも併用できるブーツを紹介します。
「朝一はバックカントリー、午後はゲレンデ滑走を楽しみたい」という需要は多いと思うんですよ。
そこでハイクはもちろん、カービングやパークもこなせるマルチブーツをピックアップしてみました。
サロモン/シナジー
サロモンのシナジーはパワーロックシステムがすごいんですよ。
一見するとスピードレーシングなんですが、実はシューレスのように1ロックずつ締め分けることができます。
だから、
- ハイクのときは緩く
- パウダー滑走前に少しだけテンションかけて
- ゲレンデでは強めに締める
なんて芸道が1つのブーツでできちゃいます。
「それじゃシューレス買えば良いんじゃない?」
いやいや、ドロップポイントで風が吹き荒れていたらどうでしょう。1つずつ締め上げてたら手が凍ってしまいます。
パワーロックシステムなら素早くフレックス調整ができるので、すぐ滑り出すことが可能です。
フラックス/TX
みんな大好きラマさんも使用するブーツがTXレース。
TXはフィット感抜群で可動域も広いので、カービングからジブまでオールマイティーにこなせるブーツなんです。
もちろんバックカントリーシーンにおいても、足が適度に曲げられるからハイクや滑走で高いレスポンスを発揮してくれます。
いろんなスタイルで雪山を遊び尽くしたい方には、ぜひ連れてって欲しい相棒です。
メジャーから玄人向けまで!おすすめのパウダーボードブランド
一般的なオールラウンドボードと異なり、パウダーボードはローカルブランドも数多く存在します。
以下の記事ではメジャーからローカルブランドまで、思いつく限りピックアップしてみました。
さらにパウダーボードの選び方のコツも解説しているので、気になる方は合わせて参照ください。
→メジャーから玄人向けまで!おすすめのパウダーボード30ブランド
バックカントリーにおすすめのスノーシュー7選
一口にスノーシューと言っても、数多くのモデルが販売されています。
それこそバックカントリーに向かないモデルを買ってしまうと、歩きづらいばかりかトラブルに巻き込まれることも…
下の記事ではスノーシューのおすすめモデルはもちろん、選び方のコツについても詳しく解説してます。
ブーツと合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
→スノーボードバックカントリー向けスノーシューおすすめモデル7選
まとめ
バックカントリー始めたばかりの頃は、ゲレンデ用ブーツで良いと思います。
でも、だんだんと歩行距離が長くなると、オールラウンドブーツでは足に負担がかかってきます。
もしバックカントリーツアーでハイクが辛くなったら、それはブーツを変えるタイミングかもしれません。
ぜひお近くのプロショップで試着してみましょう。
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