こんにちは、20年以上スノボやっている元インストラクターの、らくスノです。
はっきり言います。身長-15〜-20cmで板の長さを選ぶのは嘘です。
そもそも同じ身長だからって、体重60kgの人と体重120kgの人が同じ長さの板っておかしいですよね。
スノーボード板は身長ではなく体重基準で選ばなければいけません。
今回はスノーボード板の選び方について、初心者でも分かるように解説したいと思います。
さらに後半では、中上級者向けにスペック表の見方も解説。
この記事を最後まで読めば、スノーボード板購入で絶対に失敗することはありません!
目次
適正な板の長さは身長ではなく体重基準
この記事を読んだ方はラッキーです!
はっきり言います。身長-15〜-20cmで板の長さを選ぶのは嘘です。
身長-15〜-20cmという基準は、もともとスノボショップの店員さんが初心者の方を接客するときに、時間を効率化するために言い始めたことなんですよ。
プロライダーやスノボメーカー、日本代表の板をチューンナップしている友人にも聞きましたが、身長で板を選ぶ人なんて一人もいないです。
たとえば同じサイズの船でも、重いほうが沈みますよね。スノボも一緒。
体重が重いボーダーが短いボードに乗ると、ターンの時、板が体重を支えられず転倒してしまいます。
逆に体重が軽いボーダーが長いボードに乗ると、体重に対して板が重いのでターンしづらいです。
だから体重が重い人は長い板、体重が軽い人は短い板を選びましょう。
適正な長さは体重✕0.8+100という計算式で求められる
「体重で板の長さ選ぶべきなのは分かったけど、推奨サイズはどうやって選ぶの?」
ボードの適正サイズは体重✕0.8+100という計算式で簡単に求めることができます。
ただし、極端な痩せ型、肥満型の方は推奨サイズがないこともあります。(45kg以下または85kg以上)
その場合は、一番近いサイズを選べば問題ありません。
トリックしたいなら短め、ターンだけなら長めをチョイス
長い板 | 短い板 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
「推奨サイズは152だったけど、ジャストサイズがない。150と154ならどちらを選べばいいの?」
トリックしたいなら短め、ターンだけなら長めをチョイスすればOKです。
ちなみに足が大きい方はドラグ(足がボードからはみ出る)のリスクがあります。
ドラグの防止方法については、別記事を参照ください。
板の長さが分かったら自分が目指すスタイルを考える
ターン | トリック | 安定感 | 乗りやすさ | |
オールラウンド | ○ | ○ | ○ | ○ |
グラトリ・ジブ | △ | ◎ | ✖ | ◎ |
カービング | ◎ | △ | ◎ | ✖ |
パーク | △ | ◎ | △ | ○ |
パウダー | ○ | ✖ | ◎ | △ |
板の長さが分かったら、自分がどういったスタイルを目指すのかを考えてみましょう。
- オールラウンド
- グラトリ・ジブ
- カービング(ラントリ)
- パーク(パイプ・キッカー)
- パウダーラン
インターネットのボードカタログには「カービング向き」「グラトリ向き」等の記載があるので、参考にしてみてください。
特に目的がなければ万能に滑れるオールラウンドをおすすめします。
You Tubeの動画などを参照しながら、自分の目指すスタイルを考えてみましょう。
グラトリ志向の方はどんな技をやりたいかで選ぶ
グラトリは主に飛び・回転系、乗り系、ラントリ系の3スタイルがあります。
目安は以下のとおりです。
フレックス | 形状 | 長さ | |
飛び・回転系 | ミドル | キャンバー/ツイン | 短め |
乗り系 | ソフト | ダブルキャンバー/ツイン | 短め |
ラントリ系 | ミドル | キャンバー/ディレクショナル | 長め |
もちろんプロライダーの中にはセオリーに当てはまらない板選びをしている方もいます。
でも、スタイルが固まらないうちは上記を目安にすることをおすすめします。
初心者ならソフトフレックスがおすすめ
硬い板 | 柔らかい板 | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
フレックスとは板の硬さのこと。
ボードの「しなり」と言ったほうがわかりやすいでしょうか。
ソフト、ミドル、ハードの3段階があります。
ボードは柔らかい方が乗りやいです。
特にこだわりがなければ、ソフトかミドルソフト等の硬さを選びましょう。
形状の選び方①ツインとディレクショナル
続いてはスノーボード板の形状について、ポイントは2つあります。
まず正面から見たときの形状。
■ツイン
前後対称の板。スイッチスタンス(フェイキー)で滑っても乗り心地は変わりません。
パーク・グラトリメインのボーダーにおすすめの形状です。
■ディレクショナル
スタンスがテール寄りに設定され、ツインよりもコントロールしやすいボード。
メインスタンスでの滑走を想定しているので、パウダー・カービング志向の方におすすめ。
■ディレクショナルツイン
ディレクショナルのコントロール性能は残しつつ、スイッチでも違和感なく滑れる形状です。
とりあえずディレクショナルの方がターンしやすい、ツインの方がトリックしやすいと覚えてもらったらOKです。
形状の選び方②横から見た形状
さて次は形状の違いについて解説します。
キャンバーやロッカーというのは、写真のように板を真横から見た時の形状の違いです。
各メーカー呼び名の違いはあるものの、おおむね6種に大別されます。
ターン | オーリー | 逆エッジ | 乗りやすさ | |
キャンバー | ◎ | ◎ | ✖ | ✖ |
可変キャンバー | ○ | ◎ | △ | △ |
ロッカー | ✖ | ✖ | ◎ | ◎ |
ダブルロッカー | △ | △ | ◎ | ○ |
フラット | ○ | △ | ○ | ○ |
ダブルキャンバー | ○ | ○ | ○ | △ |
主流はダブルキャンバーとキャンバー、可変キャンバーです。
キャンバー形状はターンやトリックで優れた性能を発揮しますが操作が難しいです。
特にこだわりがなければ、最初はダブルキャンバー形状をおすすめします。
→日本一わかりやすい!スノーボード板の形状や各スペックの特徴を詳しく解説します
中・上級者向け!スペック表で見る正しいスノーボードの選び方
もちろん初心者のうちは、前項の通り板の長さ、スタイル、フレックス、形状だけチェックすれば充分だと思います。
でも、初・中級者がより上達したいなら、絶対にスペック表も読めたほうがいいです。
- 接雪長と有効エッジの違いとは?
- サイドカーブの深浅で、どうターンが変わるのか?
- ワイドで乗り心地がどう変化するか?
上記の質問に即答できなければ、おそらく今も適切な板を選べていないはず。
次項はスペック表で見る、正しいスノーボードの選び方についてお話したいと思います。
接雪長を基準にサイズ選び
※単位はmm、Wはワイドモデル
そもそも、ほとんどの方はサイズ(板の長さ)と有効エッジくらいしか見てないのではないでしょうか。
実はスペック表だけで読み取れることがたくさんあります。
まずは接雪長についてお話しましょう。
接雪長とは雪面に置いたとき接地している長さのこと。
カタログではCONTACT LENGTHとかRUNNING LENGTHと記載されることが多いです。
- 接雪長が長い…高速時のグリップやターン時の安定感がいい
- 接雪長が短い…低速時のコントロールが容易
単純に長いほうが良いと思っている方も多いですが、低速時のコントロール性能が劣ります。
だからグラトリやパークメインの方は、短い板のほうが取り回しがいいです。
サイズ(全長)と接雪長の数値の差が少ないとスイングウエイトが軽くなる
■同じ接雪長だった場合の性能差
- サイズと接雪長の数値の差が少ない…スイングウエイトが軽くなるのでターンの導入や回転系トリックがやりやすい。
- サイズと接雪長の数値の差が大きい…浮力やスピードレンジが上がる。
そもそも基準がわからないという方は、今持っている自分の板をベースに比べてみましょう。
今持っている板よりもターンの導入や回転を優先するならサイズ(全長)と接雪長の数値の差が少ないボード、スピードレンジや浮力を優先するなら差が大きいボードをチョイスしてください。
※接雪長の目安は身長(mm)✕0.67でも算出できます。
例)身長1700mm✕0.67=1139mm(接雪長の目安)
有効エッジと接雪長の数値の差が少ないとグリップが早い
有効エッジとはノーズ・テールの一番太い部分をつなぎ合わせた長さのこと。
EFFECTIVE EDGEと表記されることが多いです。
- 接雪長と有効エッジの数値の差が少ない…エッジグリップが早い
- 接雪長と有効エッジの数値の差が大きい…エッジグリップが遅い
エッジグリップの良し悪しは完全に好みなので「グリップが遅いからダメなボード」というわけではありません。
ハンマーヘッドはレングスに対して有効エッジを最大限確保するための形状
ハンマーヘッドとは、レングスに対して有効エッジを極限まで確保するために、ヘッドを潰したボードのことです。
たとえ同じ有効エッジ長でも、ラウンドトップだとレングスが長くなり動きが鈍重になってしまいますからね。
ただし当然ながら浮力が犠牲になるので、ノーズが刺さりやすく深雪・降雪には弱いというデメリットもあります。
板のワイドで(太さ)で変わる扱いやすさ
※単位はmm
板の太さはNOSE(WIDE)、WAIST、TAIL(WIDE)と表現されることが多いです。
- 太い板…浮力がある、ドラグ防止になる、安定感がある
- 細い板…エッジ切り替えが早い、扱いやすい
今お持ちの板と比較して、浮力が欲しいとかドラグが気になるなら太い板を、より扱いやすさを求めるなら細い板をチョイスしてください。
→スノーボード板のワイド(横幅)からブーツがはみ出ても良いの?ドラグの疑問にお答えします!
テーパードはターンの導入がスムーズで抜けが良い
よ〜くスペック表を見ると、テールよりノーズのほうが太いときがあります。
これはテーパードと言って、スムーズなターンインと抜けの良さが特徴となっているボードです。
もちろん好みはありますが、個人的にはテーパードはすごく乗りやすいです。
特にスイッチを多用しないなら、テーパードの板を検討してみてはいかがでしょうか。
サイドカーブで乗り味を想像する
※単位はmm
よくサイドカーブとかRなんて言いますが、カタログではRADIUSと表現されることが多いです。
8000mmとか8400mmというのはサイドカーブの円周の長さのこと。
この数字が小さいほど、小回りが効くボードということになります。
- Rの数値が大きい…ターン弧が大きい、ロングターン向き
- Rの数値が小さい…ターン弧が小さい、ショートターン向き
基本的には上記の理解で良いと思います。
ただし、Rが大きくても、板をしならせてターン弧を小さくすることもできます。
ある程度技術があるなら、Rの大きいボードを選んだほうが、様々なターンバリエーションを楽しめますね。
加速しやすく直進安定性が高いのはRの値が大きい板
ターン弧とともに重要なのが直進安定性です。
- Rの数値が大きい…加速しやすく直進安定性が高い
- Rの数値が小さい…加速しづらく直進安定性が低い
だからアルペンボードは極端にくびれが無かったりします。
ただし、Rの値が大いボードは扱いが難しいので、ご自身のスキルと相談する必要があるでしょう。
1枚の板で2つ以上のRが存在するボードもある(複合サイドカーブ)
ボードによっては、ノーズ・センター・テールでRの径を変えている場合があります。
ダブルサイドカーブ、トリプルサイドカーブなんて言ったりしますね。
たとえば7900-7500mmならノーズよりテールのほうがRが深いので、減速せずにターンインできて後半しっかり曲がってくれるボードだということが想像できます。
このようにサイドカーブをチェックすることで、よりボードの特性が理解できるというわけです。
サイドウォールスラント
サイドウォールスラントはボード側面の角度のこと。
一般的にカービングボードは鋭角、トリックボードは鈍角なことが多いです。
ただし、ボードによってはカービングボードなのに鈍角、トリックボードなのに鋭角なこともあります。
たとえば、
- ラントリ志向でトリックもやるから鈍角なカービングボードを選ぼう
- グラトリ用だけど高回転志向だから鋭角のボードにしよう
- カービング初心者だから鈍角なカービングボードを買おう
…なんて選び方もできるわけです。
とはいえカタログに記載があるのはモスくらいだと思います。
もしサイドウォールスラントを比べるなら、直接お店でチェックすることをおすすめします。
セットバックでボードコントロールが容易になる
※単位はmm
SETBACKとは有効エッジの中心に対して、スタンス幅の中心を後方にずらすこと。
前項で説明した、ディレクショナルボードになります。
たとえば28なら、有効エッジの中心に対して28mmスタンスを後方にずらしているということですね。
なぜセットバックが入っているかというと、そのほうがボードをコントロールしやすくなるからです。
また、ノーズの面積が増えるのでパウダーで浮力を得ることもできます。
ただし、スイッチトリックがやりづらいので、フリースタイル志向の方はあまりセットバックの入ったボードはおすすめしません。
→スノボのセットバックとは?→後ろ重心にして板の操作性や浮力をUPさせる
推奨スタンスは一番ボードのポテンシャルを発揮できる位置
※単位はmm
スペック表に書いてあるスタンス幅は、一番ボードのポテンシャルを発揮できる位置です。
あなたのスタンス幅がそれよりも極端に広かったり狭かったりする場合は、ボードサイズを再考する余地があるということです。
そもそもインサートホールが足りない可能性もありますね。
特にトリック志向の方は、短いボードをチョイスする場合も多いと思いますので注意が必要です。
気になる方は、今のご自身のスタンス幅と推奨スタンスを比べてみることをおすすめします。
→スノボ初心者でも簡単!バインディングの角度とスタンス幅の決め方
メタル・カーボンは振動吸収性が良くなる反面ボードが硬くなる
通常スノーボードはウッドベースですが、ハイエンドモデルになるとメタルやカーボンが入る場合があります。
カーボンは反発や振動吸収性能が高くなり、メタルはボードの強度を上げてより深いエッジラインが刻めるようになります。
しかし、メタル・カーボン入りボードは全体的に硬いため、軽快さに欠けるというデメリットもあります。
値段も高いですしね…(笑)
この辺りもどちらがいいというより好みの問題ですが、イントラレベルでなければメタルやカーボンが無いほうが扱いやすいと思います。
セッティングやブーツ、バインディングとの相性によっても変わる
当然ながら、セッティングやブーツ・バインディングのスペックによっても乗り心地は変化します。
要はボードの性能だけじゃなく、トータルバランスが重要なんですね。
だからギア選びに終わりはないんですよ(笑)
でも、スノーボードギア選びは車のカスタムと一緒。
でも、スノーボードギア選びは車のカスタムと一緒。
色々なセッティングや相性を試して良し悪しを探すのも、スノーボードの醍醐味ではないでしょうか。
【要注意】パウダーボードだけは板の選び方がまったく違う!
パウダーボードは先が尖っていたり、テールが割れてたりするじゃないですか。
当然これらの形状には意味があります。
だからラウンドボードの延長で板を選ぶと、購入後に後悔することになるんです…
パウダーボードの選び方に関しては長くなるので、以下の記事にまとめました。
パウダーボードを検討しているボーダーさんは、絶対読んだほうがいいですよ!
→メジャーから玄人向けまで!おすすめのパウダーボード30ブランド
元イントラが厳選!ジャンル別おすすめの板92選
以下の記事では、
- グラトリにおすすめの板
- カービングにおすすめの板
- ラントリにおすすめの板
- 軽量な板
- オールラウンドに乗れる板
…等、ジャンル別のおすすめ板をまとめています。
ボードを探している方は、ぜひ以下の記事もチェックしてみてください。
→元イントラが厳選!ジャンル別おすすめのスノーボード板92選!
まとめ
■ベストなスノーボードを選ぶ4つのポイント
これから購入を予定されている方は、ぜひ上記の基準を参考にしてください。
中上級者の方は、上記のスペックまでこだわると、さらにベストな板を選ぶことができますよ。
店舗にせよインターネットにせよ、購入する前にもう一度今回の選び方のポイントやスペック表の見方を確認してみてくださいね。