こんにちは、20年以上スノーボードしている、らくスノです。
「グラトリ板は短く、軽く、柔らかいモデルを選ぼう!」
そんなアドバイスを受けたことのある方も多いのではないでしょうか?
結論から言えば、正しいアドバイスとは言えません。
なぜなら、一口にグラトリボードと言ってもスタイルによって選び方は異なるからです。
間違ったアドバイスを真に受けて板を購入してしまうと、思い描いた滑りができないことも…
でも、いきなり聞かれても、自分がどんなスタイルか分かりませんよね。
ご安心ください!
今回はグラトリ板をスタイルで選ぶべき理由と、スタイルの見つけ方についてお話したいと思います。
この記事を最後まで読めば、必ず自分にピッタリの相棒に出会えるはず!
目次
グラトリ板の適切な長さはスタイルで決まる
「グラトリは短い板がおすすめ!」
このアドバイスの根拠はスイングウエイトの軽減なんです。
スノーボードはノーズ(先頭)とテール(後方)の重量が軽いほど回しやすくなります。
だから、単純に「短いほうがノーズ・テールが軽くなって、取り回しが良くなるよね」って言うのが、短い板がおすすめされる理由なんです。
でも、このアドバイスってデメリットに対する説明がされてないことが多いんですよね。
「板が短くなる=有効エッジが短くなる」と同意義。
つまり高速でのターンが圧倒的に不利になってしまうんです。
だからひとくちにグラトリと言っても、高速カービングを取り入れたラントリや、今流行りのリバースターンはやりづらくなります。
また、ボーダーの体重によっては、耐久性が損なわれるリスクもありますね。
購入後に後悔しないためにも、盲目的に「グラトリ=短い板」を信じるのではなく、まずは自分のスタイルを理解することから始めましょう。
スタイルの見つけ方については後述します。
軽い板は安定感がない
「軽い板はオーリーで高く飛べそう!」
なんとなくそんなイメージありますよね。
実際その考えも間違いではありません。
しかし、軽い板は滑走時の安定感が失われることも確かです。
ボーリングの玉を想像してもらうと分かりやすいと思います。
重い玉のほうが直進性があるし、ピンにぶつかったときもブレが少ないですよね。
スノーボードでも全く同じ現象が起きます。
そもそも軽さがメリットだったら、ブランド側も重量を計測するなどして、もっとアピールしてもいいと思いませんか?
そうしないということは、必ずしも軽量化がメリットになるとは限らない証なんです。
柔らかい板は反発力がない
「柔らかい板はトリック向き!」
この考えも間違いではありません。
しかし、柔らかいということはつまり、反発が少ないということなんですよ。
バネのスプリングを想像してみてください。
柔らかいバネと硬いバネ、どちらがより高く跳ねると思いますか?
当然硬いバネですよね。
スノーボードも一緒。
確かに硬い板でオーリーするにはそれなりに力も必要です。
でも、グラトリで540や720を目指すなら、ある程度の硬さが無いとメイクは難しいでしょう。
自分のスタイルの決め方
では、具体的にどうやってスタイルを見つければいいのでしょうか?
分かりやすいよう、マトリックスにしてみました。
まぁ一昔前ならともかく最近は極端に重いなんて板は少ないですし、柔らかくても高反発なモデルもあります。
でも、表を見ればある程度自分がどんなスタイルを目指したいか目安になると思います。
高速・高回転スタイル
カービング、リバースターン、720等…いわゆるグラトリ上級者ですね。
このレベルを目指したいなら、やはりある程度長く硬い板(ミドルフレックス程度)を選ぶべきでしょう。
まぁ長いと言っても、一般的に言われているような身長-15〜-20cm位を基準にすればOKです。
高速・低回転スタイル
どちらかというと、グラトリというよりラントリ志向の初中級者さんが目指すべきスタイル。
カービングをメインに地形を使った180やストレートジャンプなど、あまり高回転のトリックをしないなら、長く柔らかいボードがおすすめです。
また高速で滑るなら、ある程度重量のあるボードのほうがスピードが出て安定感も増します。
低速・高回転スタイル
主に初級者コースのフラットゾーンで流すタイプのボーダーに多いスタイルです。
カービングやリバースというよりも、低速での540や720が好きな方は、ミドルフレックスで短い板がおすすめです。
また、低速なら安定感より軽量な板のほうが取り回しがいいと思います。
低速・低回転スタイル
初心者コースでのプレス、180など…グラトリ初心者の方ですね。
もちろんモチベーションがあるなら前述のスタイルを目指してもいいですが、「適度にグラトリが楽しめれば良い」と言うのであれば短く柔らかいモデルがおすすめ。
また、初心者の方ならボードの安定性より取り回しの良さ、つまり軽い板を選んだほうが上達が早いと思います。
グラトリ板の選び方は形状も大事
さて、最後は形状の違いについて解説します。
キャンバーやロッカーというのは、写真のように板を真横から見た時の形状の違いです。
各メーカー呼び名の違いはあるものの、おおむねキャンバー、可変キャンバー、ロッカー、フラット、Wキャンバーに大別されます。
それぞれの特徴を表にしてみました。
ターン | オーリー | 逆エッジ | レベル | |
キャンバー | ◎ | ◎ | ✖ | 中~上級 |
可変キャンバー | ○ | ◎ | △ | 初級~上級 |
ロッカー | ✖ | ✖ | ◎ | 初心者 |
フラット | ○ | △ | ○ | 初~中級 |
Wキャンバー | ○ | ○ | ○ | 初〜中級 |
※レベルはあくまで目安ですので、モデルによっても変わってきます。
前述の長さ、重さ、硬さにプラスして、形状のメリット・デメリットを理解してボードをチョイスすれば、あなたのスタイルにぴったりのグラトリ板を選ぶことができますよ。
形状についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参照ください。
→日本一わかりやすい!スノーボード板の形状や各スペックの特徴を詳しく解説します
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「グラトリやりたいなら、短くて柔らかくて軽いボードがいいですよ!」
店員さんのこんな発言を盲目的に信じてはいけません。
そもそも、できる店員さんは必ずスタイルを聞いてくれます。
むしろ自分から「こんなスタイルで滑りたい」と伝えてあげたほうが話も早いですよ。
ただでさえスノーボードは高額なのに、自分のスタイルに合わない板を購入したら目も当てられません。
ですので、ボードを見る前に、まずは自分のスタイルをしっかり見つけてくださいね!
この記事が参考になれば幸いです。
なお、具体的なおすすめモデルについては下記の関連記事も参照ください。
【関連記事】
→スノーボードのプロ達に聞いた正しいグラトリ用の板選びとは?今シーズンのブランド別おすすめモデルも教えるよ
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