こんにちは!20年以上スノーボードを続けている元インストラクターの、らくスノです。
まず結論から申し上げると、リアエントリーバインディングがおすすめなスノーボーダーは以下のような方々です。
- ヒトリスト(ソロで滑る機会が多い方)
- オフトレ施設や室内ゲレンデによく行く方
- オープン直後のスキー場(人工雪などの短いコース)で滑る方
- ストラップタイプのバインディングだと足が痛くなる方
- カービングやラントリをメインに滑る方
もちろんこれらに「当てはまらないからダメ」ということは一切ありませんが、上記に該当するボーダーのほうが、リアエントリーのメリットをより最大限に享受(きょうじゅ)できます。
今回は、長年リアエントリーバインディングを愛用してきた私が、そのメリット・デメリットについて徹底的に解説します!
この記事を最後まで読めば、リアエントリーならではの特徴や魅力がすべて分かるようになりますよ。
リアエントリーバインディング7つのメリット

リアエントリーとは、現在主流となっているストラップタイプとは異なり、ハイバック(背もたれ)を後ろに倒して足を入れるタイプのバインディングのことです。
私はインストラクターの現役時代、このリアエントリーをメインのギアとして愛用し、活動していました。
長年実際に使い続けていく中で、私が感じたメリットは以下の通りです。
- とにかくブーツの着脱が圧倒的に早い
- オフトレ施設や室内ゲレンデでの使い勝手は最強
- 座り込まずに立ったままで簡単に装着できる
- 締め付けの圧迫感が少なく足が痛くなりにくい
- ゲレンデで使っている人が少ないのでとにかく目立つ
- ハイバックの構造上、ドラグ(雪面への接触)を防ぐことができる
- 滑走時の安定感が増す
それぞれのメリットについて、ここから順番に詳しく解説していきます。
着脱が早い

なんと言っても、リアエントリーの一番のメリットは着脱が圧倒的に早いことです。
後ろから足を入れたら、あとはハイバック(背もたれ)をグッと上げるだけなので、わずか2秒で装着が完了します。
リフトを降りてから装着してすぐに滑り出せるため、ストラップを締める仲間を待つ必要がないソロで滑る「ヒトリストボーダー」には特におすすめです。
オフトレ施設・室内ゲレンデでは最強
オフトレ施設や室内ゲレンデ、オープン直後のスキー場はコースの滑走距離が短いため、どうしてもバインディングを着脱する回数が多くなります。
しかし、リアエントリーであれば1回あたりの装着時間を大幅に短縮できるため、滑る回数を劇的に増やすことができます。
また、現役時代の私はパークのキッカーやジブアイテムを、リフトを使わず自分の足で斜面を登る「ハイクアップ」で集中的に練習していたため、この手軽さが本当に重宝しました。
短い距離を何度も繰り返し滑るシチュエーションにおいて、リアエントリーの右に出るバインディングはありません。
立って装着できる

「立ったままバインディングを装着する」と聞くと、なんとなく上級者だけのテクニックというイメージがあるかもしれません。しかし、リアエントリーを使えばスノーボード初心者の方でも驚くほど簡単に立ったまま装着できます。
お尻を雪面につけて座り込む必要がなくなるため、お尻が濡れて冷えるのを防げるのも嬉しいポイントです。
足が痛くならない

構造上の特徴でもあるのですが、リアエントリーは後ろからスムーズに足を入れやすくするため、あらかじめ少し隙間(あそび)を残したセッティングにする必要があります。そのため、ガチガチに締め付ける必要がなく、必然的に足にかかる圧迫感や負担を減らすことができます。
また、代表的なブランドであるFLOW(フロー)のバインディングなどは、大きなワーストラップで足の甲全体を「面」で包み込んでカバーしてくれる構造になっています。これにより、特定のストラップ部分だけに局所的な負荷が集中するのを防いでくれるため、足が痛くなりにくいのです。
目立つ
現在のゲレンデでは、圧倒的にストラップタイプのバインディングが主流です。そのため、リアエントリーを使っているスノーボーダーはそれだけで非常に目立ち、注目を浴びます。
リフトを降りてから、他の人が座り込んでストラップを締めている横で、立ったまま一瞬で装着して滑り出していく姿はとにかくスマートでカッコいいですよ。
ドラグを防ぐことができる

リアエントリーは構造上、一般的なバインディングにあるようなヒールカップ(かかとの金具)が存在しません。
そのため、ボードを深く傾けてカービングターンをした際にも、かかと側が雪面に擦れてしまうドラグ(バインディングが雪面に当たって転倒の原因になる現象)を効果的に防止できます。
→スノーボード板のワイド(横幅)からブーツがはみ出ても良いの?ドラグの疑問にお答えします!
安定感が増す
リアエントリーは一般的なストラップタイプよりも本体重量がやや重いのですが、実はこれが滑走時の安定感を増してくれる大きな強みになります。
たとえば車体が軽い軽自動車は、スピードを出すと風に煽られたり路面のガタガタを拾って車体がブレやすいですよね。一方で、車体がどっしりと重い高級セダンは、高速走行でも路面にピタッと吸い付くように安定して走ることができます。
スノーボードにおいて「重い」というのは一見デメリットに思われがちですが、高速でのカービングターンや、雪面がボコボコに荒れたバーンを滑る際には、その重さが抜群の安定感を生み出してくれます。
そのため、特にカービングやラントリ志向の方にとっては、「重い」というデメリット以上に「滑りの安定性」という大きなメリットとして働いてくれます。
リアエントリーバインディング8つのデメリット

当然、良いことばかりではなくデメリットも存在します。長年使ってきた中で、私が感じたデメリットは以下の通りです。
- ストラップタイプに比べて本体重量が重い
- リフト乗車時に倒したハイバックが引っかかりやすい
- 一緒に滑る友達の装着が遅いと、自分の着脱の早さが活きない
- 足元の自由度が減るためワンフット(片足脱ぎ)系のトリックがやりづらい
- 構造上、ストラップをガチガチに強く締め上げることができない
- つま先と足の甲を別々に固定するような細かい締め分けができない
- 後ろから足を滑り込ませるためバインディング内に詰まった雪を取り除きづらい
- ハイバックを無理に押し上げるとブーツのかかと部分が傷みやすい
メリットだけでなく、こうしたリアルな懸念点もしっかりと理解しておくことが大切です。ここからは、これらのデメリットについてさらに詳しくレビューしていきます。
重い

リアエントリーバインディングの最大のウィークポイントは、本体重量が重いことです。
このタイプはヒールカップ(かかとの金具)が存在しない構造のため、強度を保つためにハイバック自体をアルミなどの金属素材で強化しています。その結果、一般的なストラップタイプに比べるとどうしても相対的に重くなってしまいます。実際に計測すると、軽量なカーボン製のバインディングと比べて両足で約600gもの重量差があります。
とは言え、わずか数百グラムの差ですので、普通にゲレンデを滑る分にはまったく問題ありません。
しかし、板を引き上げる動作が多いグラトリやジブをメインにする方、特に筋力の少ない女性や脚力の弱い方は、購入前に一度再考の余地があるかもしれません。
リフト乗車時にハイバックが引っかかる

リアエントリーは構造上、移動時にハイバックをパタンと前側に折りたたむことができません。そのため、リフトに乗る際はハイバックが後ろに倒れた(開いた)状態、つまりほぼ立ち上がったままの形でリフトへ乗車することになります。
だからこそ、細心の注意を払って乗り降りしないと、バインディングがリフトの座席や支柱に引っかかってしまう危険性があります。
私自身、これまでハイバックがリフトに引っかかって派手に転んだ経験まではありませんが、リフトの乗降車時はストラップタイプ以上に注意が必要なのは間違いありません。
友達の装着が遅いと意味ない

前項では「素早く装着できるのがリアエントリーの最大のメリット」とお話ししました。
しかし、グループで滑る場合は、結局のところストラップタイプを使っている友人の装着を待たなければいけないため、複数人で滑るシチュエーションにおいては自分の着脱の早さがあまり意味を成さないという現実があります。
そのため、このスピードの恩恵を100%味わえるのは、やはり自分のペースでどんどん回せるソロ滑走(ヒトリスト)の時になります。
ワンフット系のトリックがやりづらい
【GIF】

やらない人にとっては本当にどうでもいい話なのですが(笑)、リアエントリーはワンフット(片足脱ぎ)系のトリックがかなりやりづらいです。
後ろ側のハイバックが常に立ったままの状態になるため、ワンフットでオーリー(ジャンプ)をした時に、どうしても残した足がハイバックに引っかかってしまうんですよね。
もし「今シーズンはグラトリの幅を広げて、ワンフットのトリックにも挑戦してみたい!」と考えている方は注意してください。
強く締められない
完全に好みの問題ではありますが、ストラップをガチガチに強く締められないのは少し気になるポイントです。
正確に言うと、ブーツを履いたあとにミニラチェット(バックル)をカチカチと調整すれば、強く締め上げることも可能ではあります。
しかし、毎回それをやってしまうと、「一瞬で着脱できる」というリアエントリー最大のメリットをまったく享受できなくなってしまいます。さらに、一度強く締めすぎてしまうと、今度はハイバックを倒してもブーツが引っかかって足が抜けづらくなるという本末転倒な事態に陥ります。
そのため、「滑る時はストラップを限界までガチガチに締めたい!」というホールド感重視のタイプの方は、十分に気をつけてください。
締め分けができない
通常のストラップタイプであれば、つま先と足首のストラップをそれぞれ別々に調整して、「ジブ(レールやボックス)をやる時は足首を少し緩めてルーズに流す」「カービングをするからつま先を強めに締めてレスポンスを上げる」といった細かなセッティングが可能です。
しかし、足の甲全体を一括でカバーする構造のリアエントリーは、こうしたつま先と足首の細かな締め分けができません。
正確に言うと、滑るスタイルに合わせて毎回バックルを細かく調整すればできなくはないですが、それだとわざわざ着脱の早いリアエントリーを選んだ意味がなくなってしまいます。
このあたりはスタイルに強いこだわりを持つ上級者限定の話になってきますが、「滑るスタイルによって足元のホールド感を細かくコントロールしたい」と考えている方は、あらかじめ知っておいて損はないポイントです。
バインディングに詰まった雪が取り除きづらい

ゲレンデで滑っているうちに、バインディングのベースプレート(足を置くところ)に雪が詰まって固まってしまうことってありますよね。
通常のストラップタイプならフルオープンにして簡単に雪を払えますが、リアエントリーの場合はストラップを固定したまま後ろから足を出し入れする構造のため、隙間が狭く、詰まった雪を取り除くのがとても不便です。
ストラップタイプをお使いの方ならよくやるような、「ブーツのかかとを使って、ベースプレートにこびりついた凍った雪をガシガシと踏み砕く」といった力技もやりづらいのが、実際に使っていて地味にストレスを感じるポイントでした。
ブーツが傷みやすい

ブランドの選び方にも重要なポイントがあります。実はナイデッカー(旧FLOW)のブーツは、リアエントリーのバインディングでも足をスムーズに入れやすいように細身のシルエットで作られています。
さらに、擦れやすいつま先やかかと部分に余計な縫い目(ステッチ)がない構造になっているのも大きな特徴です。※ちなみに、かつてFLOWブランドで展開されていたブーツは、現在はナイデッカーブランドとして統合され販売されています。
これに対して他ブランドのブーツは、リアエントリーでの使用を想定して作られていません。そのため、全体的にボリュームがあって甲高な作りのものが多く、後ろから足が入れづらかったり、つま先やかかと部分がバインディングと擦れて傷みやすかったりします。
写真を比べていただければ、リアエントリーへの馴染みやすさや両者の作りの違いは一目瞭然ですね。
ジャンル別おすすめのビンディングモデル

以下の記事では、ジャンル別におすすめのスノーボードバインディングモデルを厳選して紹介しています。
今回はリアエントリーの特徴を深掘りしてきましたが、それ以外の王道なストラップタイプも含めて、本当に滑りやすいおすすめモデルを多数ピックアップしています。
「今シーズンは新しいギアを手に入れて、さらに一段階上のレベルへ上達したい!」と考えている方は、ぜひ合わせてチェックしてみてください。ご自身の滑りのスタイルにぴったり合う最強の相棒が必ず見つかりますよ。
→グラトリにおすすめのビンディング→329人に聞いたらフラックス、バートン、ユニオンでした
→元スノボイントラが厳選!カービングガチ勢におすすめのビンディング10選
→バックカントリー・フリーライドにおすすめのビンディング9選
まとめ

デメリットの解説では、色々と辛辣(しんらつ)な現実もお話ししてしまいましたが(笑)、自分の滑りのスタイルにバチッとハマり、メリットを最大限に享受できる使い方をすればリアエントリーは間違いなく最強のバインディングです!
改めてまとめると、リアエントリーは以下のようなスノーボーダーに心からおすすめします。
- ヒトリスト(ソロ滑走がメインの方)
- オフトレ施設や室内ゲレンデによく通う方
- コースが短いオープン直後のスキー場で滑る方
- ストラップの締め付けで足が痛くなりやすい方
ちなみに、超有名プロライダーの石川敦士さんは、リアエントリーのバインディングを使ってパウダー、グラトリ、ジブ、キッカーまで異次元のレベルですべてをこなしています。
このことからも分かる通り、ストラップタイプと比べて「リアエントリーだから圧倒的に何かの性能が劣る」ということは決してありません。
大切なのは、今回ご紹介したメリットとデメリットをしっかりと天秤にかけ、納得した上で購入することです。そうすれば「こんなはずじゃなかった……」というゲレンデでの失敗は確実に防ぐことができますよ!






























コメントを残す