こんにちは、元イントラでスノーボード歴20年以上の、らくスノです。
最近ゲレンデでもよく見かける「ハンマーヘッド」。簡単に言うと、ボードのレングス(全長)に対して、雪面に接する「有効エッジ」を極限まで長くなるように設計した板のことです。
ノーズとテール(板の前後)のキック(反り上がり)をギュッと短く平らにすることで、全体の長さを抑えたままエッジの長さを稼ぎ、さらに軽量化も実現しているのが大きな特徴です。
ただし、その独特な形状ゆえに雪面のコンディション(特にボコボコの荒れた雪やパウダー)に影響されやすく、油断するとノーズが雪に刺さりやすいというデメリットもあります。
そこで今回は、ハンマーヘッドならではの圧倒的なメリット・デメリットや、失敗しないハンマーヘッドボードの選び方のコツを元イントラ目線で分かりやすく解説します!
この記事を最後まで読めば、自分の滑りのスタイルにぴったり合った、最高のハンマーヘッドボードを見つけることができますよ!
ハンマーヘッドはレングス(全長)に対して有効エッジを極限まで伸ばしたボード

ハンマーヘッドとは、簡単に言えば板のレングス(全長)に対して「有効エッジ」を極限まで長く伸ばした形状のボードのことです。ここではシンプルに、「有効エッジが長い=雪面を捉えるグリップ力が強い」と理解してもらえると分かりやすいと思います。
もし、一般的なラウンドトップ(丸い形状のノーズ・テール)でこれと同じ長さの有効エッジを確保しようとすると、板全体のレングスが長くなりすぎてしまい、動きがどうしても鈍重(もっさり)になってしまうんですよね。
実は、スノーボードのノーズやテールにある「キック(先端の反り上がり)」の部分って、圧雪されたゲレンデを滑る上ではあまり意味のない箇所なんです。
もちろん、新雪(パウダー)で浮力を得たり、バランスを崩したときの耐えしろが増えたりといったメリットはあります。でも、少なくともきれいに整備された圧雪バーンにおいては、有効エッジを長くするために板全体を大きくしてしまうと、板を振り回すときの重さ(スイングウエイト)が重くなるというデメリットのほうが大きくなってしまいます。
ラウンドボードとは違う!ハンマーヘッドの選び方のコツ

そもそも、ハンマーヘッドは普段乗っている一般的なラウンドボードとは「板の選び方」がまったく異なります!
ハンマーヘッドを選ぶ上で絶対に押さえておきたい重要ポイントは、大きく分けて次の5つです。
- ハンマーヘッドのレングスは接雪長基準
- 接雪長を目安にボードサイズを選ぶ
- 接雪長と有効エッジの差で板のグリップの早さをイメージする
- ワイドで変わる扱いやすさ
- サイドカーブでスピード重視かターン重視か判断する
たとえば、いざ試乗会に行ってみても、時間制限もあるしすべての板に乗れるわけではないですよね。だからこそ、事前にスペック表を見て「自分が本当に試乗したい板」をある程度絞り込んでおくこともめちゃくちゃ有意義で賢い方法だと思います。
次から順番に説明していきます。
ハンマーヘッドのレングスは接雪長基準

まずは、ハンマーヘッドのボード選びの土台となる「推奨される接雪長(せっせつちょう)」を計算してみましょう。
接雪長とは、ボードを雪面にポーンと置いたときに、実際に雪とくっついている(接地している)部分の長さのことです。
本来であれば、メーカーの試乗会などに足を運んでいろいろなレングス(長さ)を乗り比べるのがいちばんですが、ここでは初心者の方にも分かりやすいように、まずは自分の適正サイズを簡易的に算出する公式をご紹介します!
平均的な体重の方であれば、適正な接雪長の目安は「身長(mm)× 0.7」という計算式で簡単に割り出すことができますよ。
たとえば、私の身長を例にして実際に計算してみましょう。
- 例:私の身長1,700mm × 0.7 = 1,190mm(接雪長の目安)
つまり私の場合、1,190mm前後のスペックを持つボードが、基本の接雪長になるというわけです。
接雪長を目安にボードサイズを選ぶ

自分の基本となる接雪長が分かったら、今度はショップやネットで気になっているボードを実際に数本ピックアップしてみましょう!
今回は具体的な比較例として、カービングマニアの熱い支持を集める大人気モデル「OGASAKA(オガサカ)FC」と、「MOSS(モス)RRR(トリプルアール)」の2本をチョイスしてみました。
先ほど計算した私の推奨接雪長「1,190mm」を基準にして各モデルのスペック表を見てみると、オガサカFCなら「157サイズ」、モスRRRなら「158サイズ」が、もっとも私の体格にジャストフィットするサイズになります。
接雪長と有効エッジの差で板のグリップの早さをイメージする

今度は、カタログのスペック表を見ながら「有効エッジ」の数値から「接雪長」の数値を引き算してみましょう。ちなみに有効エッジとは、板のノーズとテールが一番太くなっている部分(最大幅)同士を結んだ、実際にカービングで使うエッジの長さのことです。
先ほどの2本で計算してみると、オガサカFCはその差が「80mm」、モスRRRは「100mm」の差があります。
この引き算で出た数値が一体何を意味しているのかというと、ズバリ「エッジグリップ(雪面への捉え)の早さ」です!
- 接雪長と有効エッジの差が小さい(例:FC) = エッジが雪面に噛むのが早い!
- 接雪長と有効エッジの差が大きい(例:RRR) = エッジが雪面に噛むのが少し遅い(マイルド)!
このエッジグリップの圧倒的な早さこそがハンマーヘッドの最大の特徴です。オガサカFCとモスRRRを比べた場合、数値の差が小さいオガサカFCのほうが、ターンに入った瞬間に一瞬でより早くエッジがグリップしてくれることがスペックから分かります(もちろんRRRも、一般的な板に比べたら十分早いですけどね!)。
ただし、ここで注意したいのが「雪面への捉えが早いからといって、誰にとっても良いボードというわけではない」ということです。
捉えが早すぎると、少しの体重移動で板が反応してしまうため、最初のうちは正確な角付け(エッジを立てる操作)が難しくシビアに感じてしまうことがあります。逆に捉えが遅すぎると、今度はターン全体の動きがもっさりと鈍重に感じてしまうことも。
このあたりはスノーボーダー自身の滑りのクセや、よく滑るゲレンデの雪面状況(硬さ)によっても相性があるので、自分の好みに合わせて慎重に選ぶ必要がありますよ。(だから試乗して違いを比べてみたほうがいいよって話なんです。)
ワイドで変わる扱いやすさ

続いては、ボードの太さである「ウエスト幅(ワイド)」のスペックを見てみましょう。
オガサカFCとモスRRRの2本に関してはそこまで大きな差はないのですが、基本的にはボードの太さによって以下のようなメリット・デメリット(セオリー)があります。
- 太い板(ワイド) = ブーツが雪面に擦れる「ドラグ」を防止できる・安定感が増す
- 細い板(ナロー) = エッジの切り替え(ターン時の左右の踏み替え)が早い・スピードが出やすい
これも乗る人のスタイルや好み、使っているブーツのサイズ(足の大きさ)によってベストが変わるため、一概に「どちらが良い」と言い切ることはできません。
とにかく足が大きい方や安定感を重視したいなら「太めの板」、軽快な操作性やクイックなエッジの切り替えを重視したいなら「細めの板」を選ぶのがおすすめの基準ですよ!
サイドカーブでスピード重視かターン重視か判断する

最後は、ターンの描きやすさを左右する「サイドカーブ(回転半径)」の数値です。スペック表を見る時は、以下の基準をもとに選んでみてください。
- サイドカーブの数値が大きい = 直進の安定性が高くて加速しやすい(豪快なロングターン向き)
- サイドカーブの数値が小さい = クルクルと小回りがきいてターンが楽(軽快なショートターン向き)
今回例に出した2本のスペックをこの基準で見比べてみると、オガサカFCはサイドカーブが小さめで「小回りがきいて扱いやすい板」、逆にモスRRRは数値が大きめで「スピードが出やすく大きなターンが得意な板」という、それぞれの面白い特徴がハッキリ見えてくると思います。
※実際ボードはしなるので、フレックスでもだいぶ乗り味が変わります。
細かくこだわれば素材やキャンバーの高さなど他にもポイントはありますが、まずはここまで説明した「接雪長」「有効エッジとの差」「ウエスト幅」「サイドカーブ」の4つさえしっかり押さえておけば、自分の理想に限りなく近い最高のハンマーヘッドボードを選ぶことができますよ!
ハンマーヘッドは雪面のコンディションに影響されやすい

最高のカービング性能を持つハンマーヘッドですが、もちろん良いことばかりではありません。
一番のデメリットは、「雪面のコンディションにものすごく影響されやすい」ということです。
実は、一般的なラウンドボードにあるあの大きなキック部分(先端の反り上がり)は、ボコボコした荒れた雪や深い雪(パウダー)でもノーズが埋まりにくいように、安全のための「耐えしろ」として作られています。
しかし、そのキックが極端に短いハンマーヘッドは、深雪に埋まりやすく、コブ斜面のちょっとした雪面の凹凸でも耐えしろがないため、そのまま転倒してしまうリスクが非常に高いんです。
よくハンマーヘッドに乗っている人は、雪の塊に先端が突っ込んでバランスを崩すことを「ノーズが刺さる」なんて言い方をします。
また、ラウンドボードに比べて滑りのクセがかなり強いのも特徴です。ターン前半でしっかりノーズ(板の先端側)から踏み込んでいくような正しい荷重の操作をしないと、うまくエッジを立てて角付けすることができないという難しさもあります。
カービングにはセミハンマーボードもおすすめ

ここまで読んで「うわぁ、ちょっとハンマーヘッドは自分には敷居が高いかも……」なんて思った方も多いのではないでしょうか。
そんな弱点をカバーしたい方には、ラウンドとハンマーの中間にあたる「セミハンマーボード」がめちゃくちゃおすすめです!
セミハンマーは、ラウンドボードが持つ「高い走破性や荷重のしやすさ(扱いやすさ)」と、ハンマーヘッドの強みである「長い有効エッジが生むグリップ力や、スイングウエイトの圧倒的な軽さ」をハイブリッドで合わせ持った、まさに良いとこ取りの板に仕上がっています。
実際、今回例に出したオガサカFCをはじめ、BC Stream(BCストリーム)の「R-4」、MOSS(モス)の「RRR」など、有名カービングブランドの看板モデル(フラッグシップモデル)は、すべてこのセミハンマーボードに分類されているんですよ。
ハンマーヘッドからラウンドまで!カービングにおすすめの板13選

当ブログの別記事では、私のインストラクターとしての経験はもちろん、現役のショップ店長やプロライダーといったスノボの専門家たちの意見をすべて総合して、今本当にカービングにおすすめの最強モデルを厳選ピックアップしています!
セミハンマーボードをはじめ、さらに一歩踏み込んだガチのカービングボードをお探しの方は、ぜひブログ内の「カービングおすすめボード特集」の関連記事も合わせてチェックしてみてください。
あなたの上達を劇的に加速させてくれる、最高の相棒(ボード)が必ず見つかりますよ!
まとめ

◆ハンマーヘッドの選び方
- ハンマーヘッドのレングスは接雪長基準
- 接雪長を目安にボードサイズを選ぶ
- 接雪長と有効エッジの差で板のグリップの早さをイメージする
- ワイドで変わる扱いやすさ
- サイドカーブでスピード重視かターン重視か判断する
なんとなく「本気でカービングをやるなら、やっぱりハンマーヘッドじゃないとダメなのかな?」なんてイメージをお持ちの方も多いと思います。
でも今回お話しした通り、実際にははっきりとしたメリット・デメリット(強みと弱点)があるため、決して万人向けのボードとは言えないのが本音です。
だからこそ、いきなり購入して後悔する前に、まずはメーカーの試乗会に参加したり、乗っている友人に一度借りたりして、自分のイメージするカービングの滑りが本当にできるかどうかを実際に雪上で試してみることを強くおすすめします。
また、いざ購入するとなった際は、今回ご紹介した各モデルのスペック(接雪長やサイドカーブなど)の違いをしっかり理解した上で選ぶと、絶対にサイズ選びや板選びで失敗することがなくなりますよ。






























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