スプレッドDX、ZEROやSLYバインディングの魅力を人気ライダー堀内礼くんにインタビュー

日本のグラトリシーンを牽引するトップブランド「SPREAD(スプレッド)」の看板ライダーであり、ビンディングブランド「SLY(スライ)」を立ち上げた発起人の一人としても注目を集める堀内礼君。

超絶テクニックと、見る者を一瞬で引き込む唯一無二のスタイル。その圧倒的なパフォーマンスの裏側には、道具に対する並々ならぬこだわりが隠されています。

今回は、堀内礼君に独占インタビューを敢行。監修モデル「ZERO」をはじめ、自ら手がける「SLY」のビンディング、ブーツまで、彼の「足元」を支える三種のアイテムについて、そのスペックやこだわりについて詳しく伺いました。

元イントラでスノーボード専門ライター。数々の有名ライダーと取材経験あり。元々スロープスタイルの選手でしたが、 引退後はカービングやバックカントリーを中心にスノーボードを楽しんでいます。

SPREAD初のダブルキャンバー「DX」誕生秘話

ーー 今季、SPREAD(スプレッド)からブランド初となるダブルキャンバーモデル「DX」が登場しました。これまでキャンバーに強いこだわりを持っていたブランドだけに、開発の経緯が気になります。

堀内礼(以下、堀内): 実は2年ほど前から構想自体はあったんです。ユーザーの皆さんから「ダブルキャンバーが欲しい」という要望が増えていたのも事実でした。ただ、僕たちがこれまでダブルキャンバーを出さなかったのには理由があります。単に「扱いやすいだけの板」を作っても、ユーザーの技術的な成長に繋がらないのではないか、という懸念があったんです。

ーー 「売れる」ことよりも「ユーザーの成長」を優先していた、と。

堀内: そうです。ですが、工場のテクノロジーが向上したことで、ダブルキャンバーでありながらキャンバーに近い乗り味を再現できる目処が立ちました。既存のSPREADユーザーが違和感なく乗り換えられ、かつ「しっかり弾けて、しっかりグリップする」……そんな理想のダブルキャンバーが作れるようになったことが、今回の「DX」発売の決め手です。

ーー 一般的なダブルキャンバーのイメージを覆すスペックになりそうですね。具体的にはどのような調整を?

堀内: まず、キャンバーのアーチをあえて下げ、キック(板の反り上がり)の位置を調整することで、よりダイレクトな反発を感じられるようにしました。また、コンベックス(ソールの膨らみ)量を抑えることで、ダブルキャンバー特有の「ルーズなズレ感」を低減し、キレのあるターンを可能にしています。「ノーズとテールには張りを持たせ、センターでしならせる」というSPREAD伝統の特徴もしっかり継承しています。

ーー 初級者の方にとっても、キャンバーより扱いやすい「DX」の登場は心強いはずです。

堀内: おかげさまで、他のモデルと比べても予約数はかなり伸びています。特に女性モデルに関しては、脚力や体重を考慮してキックの立ち上がりを少し高めに設定し、板の上げ下げ(捌きやすさ)を楽にできるよう工夫しました。ブランドの中でも、最も軽量なモデルに仕上がっているのもポイントですね。

ーー 「ダブルキャンバーは楽だけど、反発やターン性能が物足りない」という声も聞きますが、その点は?

堀内: もちろん、純粋なキャンバーに比べれば劣る部分はあります。しかし、ローキャンバーと絶妙なコンベックスの組み合わせを何度もテストし、可能な限りキャンバーの操作性に近づけました。反発がなかったりキレがなかったりする板は、すぐに飽きられてしまいます。僕たちは、ユーザーの皆さんにできるだけ長く、楽しみながら上達してほしい。そんな想いをこの「DX」に詰め込みました。

シグネチャーモデル「ZERO」至高の一本

ーー 堀内君の監修モデル「ZERO」ですが、来季モデルでのアップデートや変更点はありますか?

堀内礼(以下、堀内): 来季モデルに関しては、フレックス(板の硬さ)をわずかに上げました。「ZERO」はもともと、SPREADのラインナップの中でもノーズとテールの張りが最も強いモデルです。僕の理想は「センターはガッツリしなるけれど、ノーズとテールには圧倒的な耐えしろと反発力がある」こと。このコンセプトをより高い次元で実現するために、微調整を加えました。

ーー 相当なポテンシャルを秘めた板ですね。やはり上級者向けのモデル、という位置づけでしょうか。

堀内: もちろん、そのメリットを最大限に引き出せるのは上級者かもしれません。ただ、僕はあえて初中級者の方にも、先ほどの「DX」からのステップアップとして乗ってほしいと思っています。

ーー ユーザーさんに「ZERO」を勧める理由はどこにあるのでしょう?

堀内: 「ZERO」はローキャンバー構造ですが、キャンバーボードというのは非常に素直なんです。自分の動きが「正解」なら強烈な反発が返ってくるし、「不正解」なら反応してくれない。板が自分のライディングの正否を教えてくれるんです。上達を目指すなら、この「正解がわかる板」に乗るのが一番の近道です。

ーー ボーダーとしての成長を促す板、ということですね。そして、実物を拝見しましたが、グラフィックの発色が本当に鮮やかで目を引きます。

堀内: 僕自身、一人のユーザーだった頃から「デザインがカッコいいこと」はモチベーションに直結する重要な要素でした。だからデザインには一切妥協していません。

ーー デザインのモチーフには、何か一貫したテーマがあるのですか?

堀内: 僕は昔から「和」のテイストにこだわっています。SPREADは日本のブランドですし、グラトリ自体、日本で独自の進化を遂げたカルチャーだと思っているんです。世界に向けて発信していく上でも、日本のアイデンティティである「和柄」を取り入れることは、僕にとって必然なんです。

足元を完結させる「FLUX × SLY」の相関関係

ーー FLUX(フラックス)からグラトリ特化のブーツが発表されていますね。堀内君は開発にも深く関わっていると伺いました。

堀内礼(以下、堀内): はい、僕はFLUXとSLYのライダーを兼任させてもらっているので、昨年から「グラトリに特化したブーツ」の開発を進めてきました。一番こだわったのは「買ってすぐに即戦力になること」です。

ーー 新品のブーツ特有の「硬さ」を解消したかったということでしょうか?

堀内: その通りです。シーズン初めから理想の状態で動けるブーツが欲しかった。特にグラトリは足首の可動域が重要なので、柔軟性を重視しつつ、必要な反応もしっかり持たせています。あえて「紐」タイプにこだわったのも、微調整を重視するシビアなグラトリボーダーのため。また、SLYのバインディングのウイングに干渉しないという機能的な理由もあります。

ーー 柔軟なブーツは操作性が高い反面、高回転トリックなどでの反応に不安を感じる人もいるのでは?

堀内: おっしゃる通り、柔らかすぎると高負荷の動きではデメリットになります。そこで、その不足分を「SLY」のバインディングでカバーするというのが僕のコンセプトです。ブーツで柔軟な可動域を確保し、反応の早さと強いホールド感を持つSLYのバインディングで全体を締める。この組み合わせが、僕の考えるベストなバランスです。

ーー ちなみに、今季のSLYのバインディングに変更点はありますか?

堀内: 大幅な変更はしていません。まずは「SLYのバインディングとはこういうものだ」というイメージを定着させたいんです。展開を急ぎすぎて、初期に買ってくださったお客さんの高い評価を裏切りたくないという思いもあります。

ーー ブランドとしての「見せ方」や「広がり方」にも強いこだわりを感じます。

堀内: 常に「カッコいいブランド」でありたい、そこはブレたくないですね。商売である以上、ニーズに応える必要はありますが、自分が納得できないものは絶対に出しません。だからあえて生産数も絞っています。

ーー ショップ側からは「もっと広めるために増産したほうがいい」という声もあるそうですが。

堀内: 僕は無理に売って広げるよりも、実際に使ってくれた人の「口コミ」でじわじわと広がってほしい。自分たちが作るギアには絶対の自信を持っているので、焦りはありません。パウダーやカービングで可動域を求める人にもぜひ手に取ってほしいですね。

ライダープロフィール

スプレッドを代表するライダー。北海道のキロロを拠点に精力的に活動。

グラトリのスタイルはもちろん、ゲレンデのファッションアイコンとしても人気で、礼くんを真似するボーダーが続出してます。

礼くんの活動を知りたい方は、インスタをチェックしてみてください。

堀内礼インスタグラム

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ABOUT US
らくスノさん
スノーボード歴22年の自称育メンボーダー。北海道出身の父の影響で小学生からスキーをはじめ、18歳でスノーボードに出会う。学生時代に留年してまで山にこもり大会などにも出場するが、就職を機に趣味となる。現在は娘も幼いためあまり滑りにはいけないが、いつか子どもとスノーボードに行くのが楽しみ。